「SNS投稿で懲戒処分」になる人がやっている失敗 「業務時間外」も内容によっては処分の対象に

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さらに、従業員が会社の運営する飲食店や店舗で不衛生な行為(アイスケースや冷蔵庫内に入る等)をする写真や動画をSNS投稿する場合も、会社の信用を毀損するものとして懲戒処分の対象となりえます。

刑事告訴や損害賠償請求の可能性も

業務時間外のSNS投稿は、内容によっては、前に述べた会社からの懲戒処分や普通解雇等社内での処分だけにとどまらず、会社から刑事告訴されたり、会社から損害賠償請求をされたりする可能性があります。

近年、会社は業務時間外の従業員のSNS投稿に対して、厳しい対応を取るようになってきているためです。

近年の例でいうと、回転寿司チェーンのアルバイト従業員がゴミ箱に捨てた魚の切り身をまな板に戻す様子を別のアルバイト従業員が動画撮影しその動画をSNS投稿したという2019年の事例において、会社は謝罪のうえ、アルバイトを退職処分とし、刑事・民事両方の法的措置をとると公表しました。その後、警察が、動画に映っていたアルバイト従業員を偽計業務妨害ほう助容疑で、動画を撮影し投稿したアルバイト従業員と動画を拡散した人を偽計業務妨害容疑(偽計業務妨害罪の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金)で書類送検したと報道されました。会社が元アルバイト従業員らに損害賠償請求訴訟を提起したという報道は見当たりませんが、会社が損害賠償請求をした可能性は高いと思います。

近年は、投稿から24時間経過すると自動的に削除されるSNSの機能を使い、友人にだけ見せるつもりで気軽に投稿する人も多いようです。しかし、最初は友人しか見ていなくても、何らかの形で拡散され、本人の想像を超える広がり方をするケースが実際にあります。

SNSは決して閉鎖的な空間ではなく、世界に拡散する可能性があるものであることを忘れないようにしましょう。

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宮川 舞 銀座数寄屋通り法律事務所 弁護士

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みやがわ まい / Mai Miyagawa

東京弁護士会所属。会社間の紛争を中心に、訴訟を多く手掛ける。また、『名誉毀損の慰謝料算定』(学陽書房)の執筆陣に名を連ねるなど、名誉・信用・プライバシー・肖像・パブリシティの侵害に関わる研究や事案に造詣が深い。弁護士による誹謗中傷対策 弁護士宮川舞公式サイト

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