インボイス、請求書も領収書もこんなに変わる! 中小企業からフリーランスまで大混乱の理由
ライターが登録をせず、免税事業者のままでいたら、インボイスを発行できない。出版社としては、インボイスをもらえないと仕入税額控除ができなくなるため、ライターに登録を促すだろう。
つまり、ライターは課税事業者として消費税を納めてでも、出版社と取引するため、インボイス制度に対応せざるをえない事情がここにある。
ちなみにインボイス制度の導入後は、一般社員も例外ではないので、注意しておきたい。
一般社員の経費精算も無関係でない
「1回当たりの取引が3万円未満の公共交通料金」など一部例外を除き、仕入税額控除にはあらゆる取引でインボイスの入手が必要だ。これまでは3万円未満の買い物であれば、請求書や領収書がなくても、帳簿で保存するのみで仕入税額控除ができた。これからは、100円のペンやペットボトルの水などを購入するのに当たっても、インボイスを手に入れなければならない可能性がある。
企業によっては、社内においてインボイスでない請求書や領収書は、経費精算が「NG」になるかもしれない。会食で利用する飲食店、出張で宿泊するホテルがインボイスに登録しているか、事前に調べなければならなくなるといった影響が出てこよう。
いずれにせよインボイス制度がスタートすれば、免税事業者にとっては消費税が納税の対象となり、確定申告の作業もそうとうな手間になるから、大変な状況になるというのは容易に予想がつく。
そんな免税事業者には、制度本来の主旨に沿ってきちんと消費税を納めるべき、という声もある。税収を確保するため、国や地方自治体も円滑な導入を後押しする。インボイス制度に猛反発する事業者の姿勢に対し、消費者からの冷ややかな視線も皆無ではない。
消費税は消費者が負担し、事業者が消費者の代わりに納める税である。少子高齢化で膨らむ社会保障費の財源としても大切な基幹税の1つであり、インボイス制度の導入は税に対する捕捉率を間違いなく向上させるに違いない。
ただし、価格競争が激しいなど業態によっては、取引先から下請け業者が値下げ要求をされているような場合もある。消費税分を転嫁できていないケースが珍しくないのもまた一面だ。
もともとインボイス制度は、消費税の税率を8%から10%に引き上げた19年10月、軽減税率の8%も含めた複数の税率に対応するため、導入が決まったという経緯があった。年月が経っても、なお理解や準備が進んでいない現状を見るにつけ、インボイスが普及するまでの道のりは遠いだろう。
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