インボイス、請求書も領収書もこんなに変わる! 中小企業からフリーランスまで大混乱の理由

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具体的なケースを挙げよう。今回はフリーライターに原稿を書いてもらい、書店へ書籍を販売する出版社の立場で、消費税の計算を行ってみたい。話を単純化するため1冊単位とし、取次や印刷会社との取引は割愛、再販制度も適用されないとする。

出版社はライターに1冊770円(うち消費税70円)の契約で原稿を執筆してもらい、書店に対しては同1100円(同100円)で書籍を納入。書店は同1320円(同120円)で書籍を顧客に販売するものとしよう。

ここで出版社は事業活動として、ライターに770円を支払い、書店に1100円を請求する。

消費税を取り上げると、出版社は書店から受け取った100円の消費税を納税する必要があるが、仕入税額控除ができれば、そこからライターに支払った70円を差し引ける。つまり出版社は30円(=100円−70円)の消費税を納めればいいわけだ。

税金だけを通して見れば、最終消費者である書店の顧客が、一連の消費税全額120円を負担している。この消費税120円について、書店が20円(=120円−100円)、出版社が30円(=100円−70円)、ライターが70円を、それぞれ分担して税務署に納付しているにすぎない。 

インボイスがないと仕入れ先が税金を被る

もっとも23年10月以降、これらの事業者の中に免税事業者がいる場合、120円の分担の割合が違ってくる。ライターが免税事業者のままであれば、出版社は仕入税額控除を使えず、結果、ライターの分まで消費税100円(出版社の30円+ライターの70円)を納めなければならない。

10月以降に仕入税額控除を適用されるには、要件として、インボイスは法定事項が記載された請求書等に特定される。つまり、インボイスの登録をした課税事業者からもらう請求書でなければ、今後は仕入税額控除をすることができなくなるわけだ。

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