「減税」訴える自工会が13年重課に沈黙の不可解 ユーザーの利益を守るべき立場ではないのか?

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その理由は、「古いクルマは新しい車種に比べて燃費が悪く、二酸化炭素を含めて排出ガスを多く発生させるから」だという。ここには、「環境性能の優れた低燃費車に乗り替えさせるため、古いクルマを増税しよう」という意図が見える。

しかし、クルマは古くなったからといって燃料消費量が急増するものではない。これは、当然のことである。また、燃費性能に優れる軽自動車やコンパクトカーは、そもそもが低燃費だ。

例えば、14年前の2009年に発売された7代目スズキ「アルト」は、計測方法の古い10・15モード燃費ではあるが、24.5km/Lを達成していた。最新のWLTCモードで測定しても、20km/L近くになるだろう。

7代目アルト(写真:スズキ)

ハイブリッド車であっても、大型車になるとWLTCモード燃費は12km/L前後に留まる。こうしたクルマは減税されて、「古いから」というだけで燃費のいい軽自動車が増税されるのは、実際の環境性能と照らし合わせて矛盾がともなう。

また、新車は開発/生産/流通/販売/廃棄の各過程でも、資源を消費して二酸化炭素を排出する。たとえ新しいクルマの燃費性能が向上しても、長く大切に使わず、生産して廃棄することがエコロジーだとは限らない。

物価上昇や燃料費高騰の中で

古いクルマの増税は、困っている人達をさらに苦しめる。

例えば公共交通機関が未発達な地域では、年金で生活する高齢者が、毎日の買い物や通院のために古い軽自動車を使っている。年額7200円の軽自動車税が13年を超えて1.8倍の1万2900円に高まると、それだけで家計を圧迫するのだ。

しかも、今は燃料価格も高騰している。2023年1月中旬におけるレギュラーガソリンの全国平均価格は168円だ。

ひところよりは落ち着いたとはいえ、まだまだ高い(写真:Satoshi§ / PIXTA)

2000年は105円、2010年は132円だったから、今の168円は13年前の1.3倍になる。このほかにも、今は電気代などを含めて、いろいろな物価が上昇した。

その一方で、平均所得や年金受給額は高くなっていない。物価が上がる中で所得は増えず、仕方なく古いクルマに乗り続ける人も多い。特に最近は、新型コロナウイルスの影響で、飲食店の関係者などには、所得が大きく下がった人もおられる。そのような人達から、高額の税金を巻き上げるのが、今の自動車税制だ。

次ページ「負担を低減すべき」という自工会だが…
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