親に託された「厄介な空き家」実は"宝"である理由 「二度と再現できない」家屋が外国人に大人気
そういった和室には伝統的なデザインの電灯、床の間、雪見障子、掘りゴタツ、仏壇を置く場所、押入れ……等々、これまた西洋の世界にはまったく存在しないものが広がっています。手作業で丁寧につくられた一つひとつのものがほどよく調和するように、よく考えられているのです。
畳の床は、夏は涼しく冬は暖かく、掃除もほうき一本で済むので実にエコロジーです。そして新しいものに取り替える場合も天然のもので造られているので、簡単に自然へと還ります。これも西洋の世界からするとたいへん驚くべきことなのです。
日本人は古民家をもっと活用すればいい
このような古い家や家具、さまざまな室内の装飾というのは二度と同じものをつくることができません。かつて使われていた木材や素材は、今では手に入りにくくなっています。数十年前の作業が可能だった職人さんはもう存在していません。少なからぬ住宅メーカーは訓練期間が短い人でも家を建てられるように、プレハブ式の住宅を主体に販売しています。
昭和の頃の注文住宅をつくる人はどんどん減っています。古い形式の住宅を求めるお客さんが減っているので作業する人も徐々にいなくなっているのです。だから逆にこういった住宅の希少性はますます高まっていくのです。
日本の郊外にある空き家や別荘は、西洋の人々が小津安二郎や黒澤明の映画とか『座頭市』のなかで観た世界がそのまま残っている。つまり歴史が大切に保存されているのです。かつての日本人の生活様式や考え方が建物で残されているのでしょう。
そのような素晴らしい和室や伝統的な庭のある家屋が、日本ではなんと底地の所有権付きで手に入るのです。場合によってはタダ同然の値段で、首都圏に近い場所であっても数百万円で売られています。
他の国では土地の利用権はリースホールドといって、期間を定めた借地権も少なくありません。完全な所有権付きだと値段がぐっと上がります。だから日本ではこういった住宅が土地の所有権が付いて激安なので本当に驚かれるのです。
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