百貨店「つぶれる街」「生き残る街」の決定的な差 地方百貨店の運命を左右する公共交通網

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公共交通網は、基本的には地域の中心地から放射状に鉄道、バスを郊外に向けて整備するものであり、よほど交通量が多い大都市圏以外では環状交通網は整っていない。このため、公共交通で環状移動したい人も必ず中心地のハブで乗り換え、目的地に向かうというルートにならざるをえない。中心市街地は、そうした公共交通の結節点に人流が集まるため、成立している。

しかし、クルマ社会化した地域の移動は、ハブでの乗り換えがいらず、人々は目的地に直接向かう。そうなると、地方では中心市街地はスルーされてしまうため、商店街はシャッター街となり、駅前の百貨店やスーパーは維持できなくなる。こうした地方と比べて、首都圏、京阪神の百貨店はその点でまったく異なる恵まれた環境にある。

百貨店の店舗別売り上げで上位に入るのは、当たり前だが日本で有数のターミナル、繁華街に立地する店ばかりだ。これらは公共交通が十二分に機能しているハブにあり、クルマを使わなくても電車、バスで気軽にアクセスできることが共通している。2大都市圏とそれ以外の交通環境の違いについて、都市部の人々にはあまり知られていないと思うので、状況がわかるデータをお見せしておこう。

クルマ社会化していないのは、首都圏、京阪神のみ

次の図表は、国勢調査のデータを基に、都道府県別に自動車通勤の割合を比較したものだ。この比率が高いほど地域のクルマ社会化が進んでいるということであり、また、1990年⇒2020年の変化を見ることで、その間にクルマ社会化が進行した(住民の移動手段に変化があった)と解釈できる。

この表をみてわかることは、①クルマ社会化していないのは、首都圏、京阪神だけであること、②クルマ社会化はこの30年に大きく進んだこと、③全国平均ではほとんど変化がみえないこと(大都市の人口比率が高いため)、といったところだろうか。

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