鉄道工事関係者が語る--新幹線復旧のネックは仙台車両基地の被害【震災関連速報】
東日本大震災は、被災地の鉄道インフラに広範囲で深刻な打撃を与えた。JR東日本は3月22日、震災直後から運転を見合わせていた東北新幹線について、盛岡駅から新青森駅の区間で運転を再開したが、依然として盛岡~那須塩原駅の区間は再開の見通しが立たないままだ。福島、宮城両県を縦断する不通区間の運転再開はいつになるのだろうか。
JR東日本によると、架線断線、電柱など1100カ所が折損。仙台駅の天井板がホームに落下した映像などを見ると、東北新幹線は被災地の在来線と同じように、全通にはかなりの時間がかかると想像される。
7年前に起きた新潟県中越地震のときには、上越新幹線が脱線したり、トンネル路盤が隆起するなど開業以来の大きな被害を受けた。当時は全面復旧まで約2カ月間かかった。今回は資材調達の難しさを理由に、東北新幹線の前面復旧には「数カ月程度」という見通しが報道された。
一方、鉄道工事関係者は、軌道や駅舎の被害状況のみで判断すれば、早期の全線開通は可能と打ち明ける。「海沿いを走るルートではなかったので、運行上の被害は意外に受けていない。コンクリートなど構造物の損傷は使い物にならないという程度ではないので修復が可能だ。駅舎など建物は大部分が傷んでいない。電柱が壊れているエリアも集中している。軌道や駅舎の被害状況で判断すれば、早期の全線開通は可能」(鉄道関係者)と指摘する。
ただ、鉄道工事関係者が「運転再開のネックになりそうだ」と、見通しを不透明にさせる要因を指摘する。それは、仙台の車両基地が受けたダメージだ。同基地とは、仙台市郊外にある新幹線総合車両センターのこと。約53万平方メートル(東京ドーム11個分)の敷地面積がある。ここで低速走行していた試験車両が脱線したという一部報道はあるが、この件を含めて、車両基地内の被害状況の詳細は公表されていない。