政府検討「自衛隊地下施設へ住民避難」が愚策な訳 シェルターとして使用するには課題だらけ

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そこから考えられるのは、政治家や官僚が地元対策として、新しく建造する自衛隊の地下施設は地域住民の避難にも活用できますと耳障りのいい方便を使っていたのではないかということだ。

石垣島駐屯地の地下施設は「住民避難が目的ではない」

安保3文書決定後の12月18日。琉球新報は、今年3月完成予定の陸自石垣島駐屯地に地下施設が建造されることを報じ、防衛省担当者の「地域住民の避難を目的として造った施設ではない」とのコメントを伝えた。この報道には、自衛隊地下施設への住民避難の問題点が集約しているといえるだろう。

軍民混然となった沖縄戦では多くの県民が犠牲になり、一部の部隊や軍人による県民への不信や非人道的な対応が、戦後長らく沖縄県と自衛隊の関係に影を落としたことは周知の事実である。そもそも一般的に軍隊は民事作戦が不得手だ。にもかかわらず、自衛隊は災害派遣などで実績を積み、国民との間に信頼関係を構築してきた。

仮に、有事での自衛隊地下施設への住民避難が本当に検討されているのであれば、それは自衛隊にないものねだりを強いることであり、国民に不毛な期待を抱かせることである。助けてもらえると思い、駐屯地に押しかけた住民の群れを自衛官が追い返し、国民と自衛隊の間に築かれた信頼関係を崩すような事態を招くことは絶対に避けなければならない。この問題については、政府・防衛省がきちんとした見解を示すことを期待する。

高橋 和弥 国際情報アナリスト

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たかはし かずや / Kazuya Takahashi

政府系シンクタンクで北東アジアの安全保障を中心に国際情報を分析する。

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