家族がいた2人、出会って32年で「同性婚」するまで 家族やお金、将来の問題をどう解決してきたか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「遺書の細かい内容は、最初から子供たち4人に詳細を伝えて、彼らが快く賛成してくれたことで、初めて形になった」とウィルコックスさんは言う。子供たち4人の仲が良くなければ、この遺書は実現し得なかったということでもある。

遺書作成の弁護士費用は約700ドルで、コピーは自宅に1通と、弁護士事務所に1通ずつ保管している。

2015年にミシガン州で同性婚が合法になると、多くの同性カップルは法律婚をするために市役所に走ったが、ウィルコックスさんたちにはこの遺書があったため、「いつか時間ができたときにゆっくり法律婚すればいいよね」と余裕が持てた。

引退後は毎月5000ドルを得られる

ウィルコックスさんは教師として32年間勤務した後、校長のアシスタントとしてさらに3年間務め、キャリアを引退した。引退間際の最終的な年俸は7万ドルだった。「7万ドルの収入はそれほど高額ではないけれど、教員として勤続30年を超過すると、ミシガン州の教員年金制度はぐっと手厚くなり、私の場合、引退後は月額2600ドルの小切手を死ぬまでもらうことができる」とウィルコックスさんは言う。

それプラス、彼女が65歳になる2023年2月からは、月額2400ドルの年金を国から受け取ることができる。つまり、月額5000ドル(約65万円)が毎月彼女の懐に入ってくる計算だ。

家のローンは月額1000ドルで、この先も当分払い続けていくが、極めて安泰な老後と言えるだろう。「思い返せば、私はいつも一家の大黒柱で、主たる稼ぎ手なんだという自覚があって、それが当たり前だった。私たちは同性カップルではあるけれど、それ以前に、シングルマザーとして、子供を育て上げることが何よりも最優先だったから」と彼女は言う。

逆に言えば、30代の時点で、収入が安定している教員であり公務員だったからこそ、離婚をしてシングルマザーになり、同性のパートナーと共に生きる選択が可能だったのかもしれない。

次ページ「中絶の権利は違憲」判決で結婚をしようと決めた
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事