"宿題を解くAI"が現実に登場「ChatGPT」凄い中身 小論文の執筆や数学、物理の問題もこなす対話型AI

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さらに、ChatGPTのようなAIがいずれ人間の知的能力を上回るレベルに達してしまえば、私たちが利用するツールの域を超えて、私たちの仕事を奪う侵略者になる恐れもある。

通訳や翻訳者など一部の職種では、そろそろ警戒を要する段階に入っているし、作家やデザイナー、ソフト開発者のようなクリエイティブな職種でも、今のペースでAIが進化すれば将来まで安泰とは言い切れない。

よきにつけ悪しきにつけ注目されるChatGPTだが、実は突然誕生したAIではない。そのベースには長年にわたる人工知能の研究成果がある。

そもそも現代のAIとはどういうものなのか?

2006年ごろから急激な発達を遂げた現代のAIは、動物(人間を含む)の脳をきわめてラフな形ながらも参考にした「多層ニューラルネット」が主流だ。そこでは「機械学習」と呼ばれる方式に従い、ビッグデータをコンピューターが統計的に処理することによって人工的な知能を育んでいく。これが「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる現代のAIだ。

当初、ディープラーニングが得意としたのは、音声・画像などのパターン認識技術だった。例えばグーグルの音声検索機能、あるいはスマホで撮影した多数の写真を自動的に識別し「これは何々です」と分類してくれるような技術がその代表だ。

ただ、これら便利な機能を実現するためには、メーカー各社による製品開発の段階でいわゆる「教師有り学習」と呼ばれる骨の折れる長時間作業を必要とした。つまり人間が「AIの教師」として、ときに何十万枚、何百万枚にも及ぶ大量の画像データに「(これは)犬」「人間」「フリスビー」などとラベル(標識)を付けていく。

これら大量のラベル付きデータをコンピューターが統計的に処理することによって、次回からは人間が教えなくても、これらの写真を見ればAIが自動的に「(これは)犬」「人間」「フリスビー」などと識別できるようになる。これがディープラーニングによるパターン認識である。

この方式に従うAIはそこまではうまく行った。ところが、その先にある自然言語処理、つまり「犬と人間がフリスビーで遊んでいます」といった文章の意味を理解する段階でつまずいてしまった。この分野の研究者らは同じくディープラーニングによって、こうした自然言語処理を実現しようとしたが、いくら努力しても中々性能が上がらなかったのだ。

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