ここ約10年にわたって、世界的なブームを巻き起こしたAI(人工知能)が今、次なるフェーズに突入しようとしている。それはAIが言葉の意味を理解し、私たち人間(ユーザー)と自由に会話したり、共同作業したりできるようになる段階だ。
その先駆けといえそうのが、昨年11月末にリリース(一般公開)された「ChatGPT(チャット・ジーピーティー)」と呼ばれるAIだ。文字どおり「チャットボット(人間とおしゃべりをする対話型の人工知能)」の一種だが、開発元であるアメリカのOpenAIによればリリースから5日間で利用者数が100万人を突破したという。
ちなみにフェイスブックが同100万人を突破するまでに約10カ月、インスタグラムでは約2カ月半かかっているから、これらに比べて5日間という異例のスピードはChatGPTに対する注目度の高さをうかがわせる。
あらゆる質問に筋の通った回答をする
なぜ、これほど大きな関心を集めたのだろうか。
主な理由はChatGPTの並外れた言語処理能力である。政治・経済・文化・歴史をはじめ、あらゆる分野の質問に対し、おおむね適切で筋の通った答えを返してくる。従来のチャットボットがしばしばとんちんかんな答えを返して、ユーザーをしらけさせてきたのとは大きな違いである。
ChatGPTはまた、ユーザーのリクエストに応じて小論文や小説、脚本を書いたり、作詞・作曲をしたり、短歌や俳句をたしなんだり、コンピューターのプログラミングやデバッグ(誤り訂正)を行ったり、数学や物理の問題を解いたり、新規事業の企画書をまとめたり、日本語の手紙を外国語に翻訳したり……と、あらゆる頭脳労働や創作活動をこなすことができる。しかも今のところは一種のテスト段階ということで、無料で使える。いずれ有料化される際にも、かなり安い値段で提供される見通しだ。
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