狙うはグーグルからのシェア奪取だろう。
「検索の新たな1日の始まりだ」。2月7日、アメリカのマイクロソフト本社で開催された発表会で、サティア・ナデラ会長兼CEO(最高経営責任者)は、自信に満ちた表情でそう語った。
披露されたのは、同社が手掛ける検索エンジン「Bing(ビング)」とブラウザ「Edge(エッジ)」のニューモデル。それも、いま世界で大旋風を巻き起こしているチャットボット「ChatGPT」を生んだ、アメリカのOpenAI(オープンAI)の技術をフル活用したものだ。
例えば、新しいBingの検索窓に「65インチテレビの売れ筋」と入力すると、画面の上部にテレビに関する広告、左側にウェブページの検索が表示される。これまでと異なるのが、画面の右側に表示される「回答」だ。さまざまなメーカーのテレビとその特徴が列挙され、具体的な情報にたどりつくまでの手間が省けるようになった。
そこからより自分好みのテレビを見つけたければ、「チャット」ページに移動し、「ゲームに向いているものは?」「安いものはどれ?」と質問を続けることで製品が絞り込まれていく。これまでとはまったく違う検索の経路を示した格好だ。
グーグルに対する宣戦布告
Edgeでも新たな機能が追加された。身近な例だと、ある企業の決算書をPDFファイルで開いた際、チャットで指示を出せば、決算書の要約や競合他社との財務比較を表で示すことができる。また、短文の指示で、SNSやメール、ブログなどのケース別に文章の自動生成もしてくれる。
マイクロソフトは以前からオープンAIに出資するなど、パートナー関係を深めてきた。2023年1月23日、今後数年間で数十億ドル規模を追加出資すると表明したばかりだが、新しいBingにはChatGPTに使った言語モデルをより進化させたものを搭載するなど、その動きはまさに電光石火だ。
ナデラ会長兼CEOは発表会で「急速なイノベーションが起ころうとしている。実際、皆が期待するような競争が今日から始まり、私たちは動き出す」と語ったが、これは検索王・グーグルに対する宣戦布告ともいえるだろう。
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