ただし、オープンAIは非営利の研究機関として設立され、今なお利益に上限を設ける企業形態を取っており、上場企業のように株主から成長を問われる立場にない。また、マイクロソフトからの追加的な資金供給が決まったことで、投資負担の許容度が高まったともいえる。国内IT大手の関係者は「グーグルのような営利企業が(莫大なコストがかかる)オープンAIと同様のサービスの展開を決断するのは難しい」と明かす。
莫大なコストとは別の要因もありそうだ。生成AIが劇的に進化したとはいえ、ChatGPTも質問に対して誤った回答をする。チャット機能を搭載した新しいBingも「不完全、不正確、または不適切な応答が表示されることがあります。ご自身で判断し、Bing の回答に基づいて意思決定を行ったり、行動を起こす前に、事実を再確認してください」と書かれている。
「劣勢」を逆手にとって勢いづく
だが、グーグルは独占的なプラットフォーマーとしての責任もあり、「間違えて当たり前」とはみなされないだろう。実際、チャットボット「バード」のデモ画面で回答の一部に誤りがあることがメディアに書きたてられた。王者ゆえにミスが許されないだけに、チャットボットの展開や検索への実装には慎重になっているという見方もできる。一方、マイクロソフトの場合は「検索のシェアがわずかだからこそ(オープンAIと組んで)チャレンジできる」(国内通信大手の関係者)。
今回、Bing最新版を先行して利用する条件として、マイクロソフトは「Bingの既定ブラウザへの設定」と「スマホアプリのインストール」を条件にしている。2月7日の発表から48時間で最新版の「順番待ちリスト」には100万人以上が登録した。
劣勢を逆手に取って攻勢を強めるマイクロソフト。二の足を踏んでいるかのように見えるグーグルに、一気に巻き返す奥の手はあるのか。マイクロソフトとグーグルの検索市場における「次の一手」は、今後ますます目が離せなくなるだろう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら