"宿題を解くAI"が現実に登場「ChatGPT」凄い中身 小論文の執筆や数学、物理の問題もこなす対話型AI

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対話型AIであるChatGPTの基盤となっているのは、OpenAIが開発した「GPT(Generative Pre-trained Transformor)」と呼ばれるLLMだ。

このようなAI基盤を、それほど大規模ではないラベル付きの画像データで再教育することによって、「DALL-E」と呼ばれる画像生成AIが開発された。画像生成AIとは人間の言葉による命令によって、自動的に写真・絵画などの画像を描き出す人工知能のことである。

グーグルやメタも独自のLLMを開発

あらゆる種類のAIを生み出すLLMは、OpenAIのみならずグーグルやメタなど巨大IT企業が独自のものを開発している。グーグルの場合は「LaMDA(ラムダ)」や「PaLM」と呼ばれるAIがそれに該当する。

中でもLaMDAはグーグルのある従業員がこれを利用し、そのあまりに真に迫った会話能力に驚嘆して、「このAIは意識を備えている」と勘違いしてしまった、いわくつきの人工知能である。

結局、今、世界的な話題になっているChatGPTはこれら大きなトレンドの一環、つまり「氷山の一角」にすぎないことが見て取れる。そうした氷山のベースとなる「ファウンデーションモデル」はそれまでAI研究の懸案だった「自然言語処理」などの難問を解決し、一種の汎用AIへと続く道を切り開いた。これによってIT業界に今、新たなビジネスチャンスが生まれようとしているのだ。

小林 雅一 KDDI総合研究所リサーチフェロー

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こばやし まさかず / Masakazu Kobayashi

1963年、群馬県生まれ。作家・ジャーナリスト、KDDI総合研究所リサーチフェロー、情報セキュリティ大学院大学客員准教授。東京大学理学部物理学科卒業。同大学院理学系研究科を修了後、東芝、日経BPなどを経てボストン大学に留学、マスコミ論を専攻。帰国後、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所などを経て、現職。近著に「生成AI」(ダイヤモンド社)、「AIと共に働く」(ワニブックスPLUS新書)。

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