日本上陸!「有機ELテレビ」の可能性とは? LGが大型テレビ向けパネルの量産に挑戦
白色OLED+カラーフィルター方式、WRGB構成などの技術的選択は、個々のサブピクセルがRGBに光る方式に比べて原理的に色再現範囲が狭くなるはずだが、製品展示を見る限りそうした問題は感じられない。むしろ、暗部階調の再現性が高く、コントラストも良好のため、液晶よりも安定した画質が実現されているように見えた。こうした方式の違いが量産を可能にしているのであれば(そして一方の方式がテレビ向けに量産できていないことを考えると)、決して弱点とは言えないだろう。
バックライトなどの透過光ではなく、画素そのものが光る自発光ディスプレイの長所がよく表れており、ディスプレイそのものの原理的な優位性は実物を目にすれば、誰でも実感できるだろう。
なお、発表会終了後にエンジニアに、採用されているOLEDパネルの輝度を質問したが、全面が白表示の場合、最大350カンデラ程度だとのこと。ただし、画面全体の平均輝度が低い場合は、部分的に高輝度を出す事が可能で、その場合のピーク輝度は400カンデラを超えているとのことだった。家庭向けとしては充分に余裕のある輝度と言える。
ハイダイナミックレンジへの対応は来年以降に
ただし、新たな高画質技術として注目されているHDR(ハイダイナミックレンジ)映像への対応は部分的に行いたいとの意向を表明したが、本格対応はHDRに対応が可能な次世代パネルが必要となり、製品としての供給は来年以降になるとのこと。画素ごとにピーク輝度をブースト可能な自発光方式のOLEDは、原理的にHDRへの適応性が高いため、LGエレクトロニクスとして積極的に対応していくという。
自発光方式のディスプレイパネルは、プラズマテレビの販売が国内で途絶えてしまったこともあり、市場に存在するのはLGのOLEDテレビのみ。パイオニアの高画質プラズマテレビ「KURO」を購入していた消費者などは、買い換えるべきモデルが存在していない。LGエレクトロニクスジャパンも、そうした高級プラズマテレビからの買い換え層に訴求したいとしている。
LGとしては、ライバルに対して圧倒的に進んでいるテレビ向けOLEDの量産技術に賭けたといったところだろうか。
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