東京ガスLNG権益売却資金3000億円で再エネ拡大 脱炭素など成長領域で30年までに2兆円規模の投資

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東京ガスは脱炭素目標の達成に向けて投資を加速する。オーストラリアの液化天然ガス(LNG)権益の売却で得られる3000億円程度の資金を活用して、再生可能エネルギー電源の獲得や水素・アンモニアといった次世代エネルギーの開発を目指す。

東京ガスの棚沢聡常務執行役員はインタビューで、10月に発表したオーストラリアの四つのLNG権益の売却資金について、短期的には再エネ電源の取得やそうした資産を保有する企業の買収に充てる考えを示した。「いろいろなステージのものを複数、並行的に取り組んでいる」としたが、詳細については言及を控えた。

東京ガスと日本水素ステーションが共同で設立した豊洲の水素ステーション内部Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

同氏によると、燃やしても二酸化炭素(CO2)が発生しないクリーンエネルギーとして注目を集める水素やアンモニアを製造する事業にも資金を振り分ける可能性がある。都市ガス業界が推進する水素とCO2からメタンを合成する「メタネーション」技術の実証に向けた設備投資なども「視野に入れている」と説明した。

地球温暖化問題への対応が急がれる中、東京ガスは2021年11月、脱炭素など成長領域で30年までに2兆円規模の投資計画を示した。今回、LNG権益を米EIGグローバルエネジーパートナーズの傘下企業に売却するのは、資金捻出などのために資産売却や入れ替えを行うとの方針に沿うもの。

売却先であるEIG傘下のミッドオーシャン・エナジーによると、権益の売却額は21億5000万ドル(2869億円)で譲渡は23年3月の予定。東京ガスは売却金額や業績への影響を明らかにしていない。

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