「silent」ロス層争奪戦へ熾烈を極める冬ドラマ 復権の兆しをみせるラブストーリーも目玉

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小原 ドラマファンとしては早く復活してほしいというのは分かります。今回ちょっと心配なのが、なかなか恋が始まらない様子を描くらしいんですよ。九州から出てきた少女と、都会の男子という設定ですが、恋が始まらないと物語が動かないという不安が…。演出の金井紘さんはフジテレビ時代に「好きな人がいること」や「恋仲」などを手掛けていて、若者ターゲットに刺さる演出がはまるといいなと思います。

-配信がひとつの視聴形態として定着し、今や「TVerランキング」はドラマの人気指標として大きな影響力を持つ存在になっています。やはりラブストーリーは強いコンテンツなのですか。

小原 強いですね。今年で言うと、やはり「silent」は再生数がバケモノすぎて、今までとはフェーズが違う。ちなみに20年のトップは「恋はつづくよどこまでも」(TBS)、昨年のトップは「最愛」(TBS)。恋愛モノは絶えず求められています。やはりTBSさんは強いです。秋に「silent」のフジにやられた分、恋愛モノで巻き返すという狙いであればさすがだと思います。

大御所の脚本家がオリジナル力を競う

-ほかに注目ポイントはありますか。

小原 1月期はとにかく大御所、ベテランの女性脚本家さんが多いです。ここまで話しただけでも、「星降る夜に」の大石静さん、「夕暮れに、手をつなぐ」の北川悦吏子さん、「100万回言えばよかった」の安達奈緒子さん。ほかにも、フジ系「罠の戦争」(1月16日スタート、月曜10時)の後藤法子さん、日本テレビ系「すきすきワンワン!」(1月23日スタート、月曜深夜)の水橋文美江さん、テレ朝系「6秒間の軌跡~花火師望月星太郎の憂鬱」(1月14日スタート、土曜11時15分)の橋部敦子さんなど。ベテランがオリジナル力を競っているのは見どころでもあります。

-確かにすごい顔ぶれですよね。逆に、このくらいベテランじゃないとオリジナルを書かせてもらえない現状も実感します。営業的なリスクを考えると名前のある作家さんの方が企画が通りやすいとはいえ、デビュー作の新人にオリジナルを任せた「silent」の挑戦があれだけ結果を出した中、フレッシュな才能をどんどん見たいと思うんですよね。

小原 そうですね。原作モノも掘り尽くされている感じがあるので、「silent」の成功に発奮した各局の動きに期待したいです。キー局の主要枠の場合、キャスティング期間などを考えると影響が出始めるのは1年後くらいだと思うので、そのころどうなっているのか気になるところです。

-ラブストーリー以外のおすすめは。

小原 テレ朝さんの「警視庁アウトサイダー」(1月5日スタート、木曜9時)は、西島秀俊さん、濱田岳さん、上白石萌歌さんというでこぼこトリオが警視庁の闇に迫っていくのはおもしろそうだなと。フジテレビ月9の「女神(テミス)の教室~リーガル青春白書~」(1月9日スタート、月曜9時)は北川景子さん、山田裕貴さんという組み合わせが新鮮です。大北はるかさんの脚本なので、ロースクールという知られざる世界を「ラジハ」のように痛快に描いてくれるのではないでしょうか。

-ちなみに、NHK大河ドラマ「どうする家康」(1月8日スタート)はどうですか。戦国大好き派にとってはいよいよという感じで、個人的には古沢良太さんの脚本でつまらないわけないだろうと勝手に決めちゃっているのですが(笑い)。

小原 同じく、期待しかないですね。松本潤さんですし、戦国時代、江戸時代という時代劇のど真ん中を古沢さんがどう描くのか。残念ながら、NHKなので私ども民放公式テレビ配信サービス「TVer」には載らないのですが(笑い)、1月スタートのドラマ界全体が盛り上がるといいなと思っています。

(梅田恵子)

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