アマゾンが「新配達プログラム」を打ち出す事情 インド配達網も手掛けた事業本部長を直撃

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――プロのドライバーによる配達を増やすほうが安定的に運営できる面もありそうですが。

私たちも計画を立てるときにその点について議論した。重要なのは安全に早くお客様に荷物を届けることだ。戦略的パートナー(ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便)も、デリバリープロバイダも、個人ドライバーに委託するフレックスも、いずれも成功している。それぞれのバランスをとることが重要だ。

ハブプログラムは倍々に成長する

フレックスはドライバーが業務用の軽貨物車両を所有し、デリバリーステーションで荷物をピックアップする必要がある。ハブプログラムでは、デリバリーステーションからトラック(2トンと4トン)で各オーナーの店舗に荷物を届け、そこからオーナーに配達してもらう。フレックスとは意味合いが異なる。

ハブプログラムを発表するシング氏。同プログラムは地元店のオーナーの副業を支援する試みでもある(撮影:尾形文繁)

今は何がベストかを学んでいる最中だ。正しく提案をしていけば、ハブプログラムは倍々に成長していくと思っている。

――昨今はデリバリープロバイダのドライバーから「荷物量が多い」との声も上がっています。負担増にどう対応していきますか?

ドライバーの方が契約しているのはデリバリープロバイダで、アマゾンはデリバリープロバイダとの契約になっている。彼らがドライバーを雇い、トレーニングを提供し、同じ労働条件が提供されているわけだ。

ドライバーの安全な環境を構築することは重要だ。アマゾンも安全に関するガイダンスなどを提供している。また、置き配は非常に大きな助けになっている。再配達を減らせるので、ドライバーにとっても、お客様にとっても便利だ。

――アマゾンの配送サービスはかなり利便性が高いものです。送料無料となる日本のプライム会員の価格(年間プラン4900円、月間プラン500円)は安すぎませんか?

私たちの立場からすると、利便性を提供して、早く荷物を届けることが焦点だし、それに基づいた努力をしている。「払っただけの価値がある」と思ってもらえているのはありがたい。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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