東京の赤羽エリア「億ション」開発続々の舞台裏 「せんべろの聖地」で高級マンションが林立

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ある大手デベロッパー関係者は「三菱地所のグループより高い入札金額を提示した事業者は阪急阪神不動産など複数いたが、なぜか落とされた」と首をかしげる。「開発計画の提案で差があったのだろう」(別の大手デベロッパー関係者)とみる向きもある。

三菱地所レジデンスのグループが赤羽で獲得した開発用地
三菱地所レジデンスのグループが赤羽で獲得したマンションの開発用地(記者撮影)

気になるのは、三菱地所レジらが手がけるタワーマンションの販売価格だ。複数のデベロッパー関係者は「だいたい坪単価480万円での販売を検討している」と証言する。70平方㍍(約21坪)換算するとまぎれもない「億ション」である。

「億ション計画」はほかにも複数ある

赤羽はこれまで、新築マンションは最高価格でも坪単価300万円台で推移してきた。駅周辺には都内でも屈指の飲み屋街があり、住宅環境は良好とは言えない側面もあった。ただ、東京駅まで20分以内で異動できる交通利便性が過小評価されてきたとも言える。

2023年5月で閉店する西友赤羽店
赤羽駅周辺で関係者の耳目を集めるのは、西友の本拠地の閉店後の開発だ(記者撮影)

2023年に竣工予定の物件で、新築マンションの相場はようやく坪単価400万円台に届く。

三菱地所レジデンスが開発した「ザ・パークハウス赤羽フロント」は坪単価400万円弱、住友不動産の「シティテラス赤羽 THE EAST」も坪単価400万円超とみられる。三菱レジが提示する「坪単価480万円」は、そうした赤羽駅周辺の相場を1~2割引き上げる「新価格」だ。

「億ション計画」はこれだけではない。赤羽駅周辺ではほかにも、再開発案件が複数ある。関係者の耳目を集めるのは小売り大手の西友の本拠地だ。新相場を形成する新たな激戦区。赤羽エリアの動向から目が離せない。

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佃 陸生 東洋経済 記者

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つくだ りくお / Rikuo Tsukuda

不動産業界担当。オフィスビル、マンションなどの住宅、商業施設、物流施設などを取材。REIT、再開発、CRE、データセンターにも関心。慶応義塾大学大学院法学研究科(政治学専攻)修了。2019年東洋経済新報社入社。過去に物流業界などを担当。

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