日銀ショック!金利上昇で株価上がる業種はどこ 統計的手法で「上がる業種」「下がる業種」を抽出

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では、なぜ金利が低下すると株高となるのでしょうか。金利が下がると、借入利息の支払いが少なくなるため、人々はお金を借りやすくなります。ローンで家を建てたり、クルマを買う人が増えれば、家やクルマを生産している企業の売り上げが増えて景気も良くなります。さらに生産を増やすために企業が設備投資を行えば、景気拡大の波及効果も広がり、株高が加速していくのです。

「良い金利上昇」と「悪い金利上昇」の違い

ところで、このような金利低下と株高の関係ですが、図表1で過去の推移を見ると、単純にそうとも言えません。アベノミクス前の2012年11月以前では、「金利低下と株安」が連動していました。10年物国債の利回り(長期金利)と日経平均株価が連動して下落しています。これは株価の下落に対応して日銀が金融緩和しても、それ以上に株価下落の傾向が強くて緩和の政策が追い付かなかったからと見られます。これがデフレと呼ばれるものです。デフレとは、資産などのモノの価値が持続的に下がってしまうことです。

このように金利が下がる場面で、「株価が上がる局面」「株価が下がる局面」の両方があって、どちらになるかはそのときの経済環境で決まります。反対に金利が上がる場面も「株価が上がる局面」「株価が下がる局面」の両方あります。図表2では、それぞれについて「①良い金利上昇」と「②悪い金利上昇」として、まとめてみました。

「①良い金利上昇」は、例えば、次のようなものです。景気が回復していくと企業の業績も良くなります。ビジネスパーソンはボーナスも増えて給料が上がります。収入が増えると人々の購買力があがることからモノがたくさん売れます。モノの需要の増加に対応して企業が設備投資を増やせば、銀行から借り入れも増えるようになります。お金の需要が増えるため、金利が高くなってもお金を借りる人が増えます。これが景気の回復や株高と連動する金利上昇です。

一方、「②悪い金利上昇」は、例えば戦争などの原因により生産国から原材料の輸入が難しくなったときに起こります。モノの供給が不足するためモノの値段が上がります。金融当局はモノの需要を減らして値段を下げようとします。人々がお金を借りてモノを買ったりしないように、金利を高くするのです。こうした金利上昇は景気が良くない状況で起こり、株安にもつながります。

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