実は影響大「薗浦氏辞職」で与党も野党も迷走の訳 「千葉5区」補欠選挙の候補者擁立をめぐる苦悩

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ただ、先行辞職に至る一連の動きは、「薗浦氏の今後に関する麻生、渡邉両氏の思惑も絡んだ結果」(自民幹部)とみる向きが多い。読売新聞の政治記者だった薗浦氏は、「いわゆる“ナベツネ印”の人物」(読売OB)で、政界入り後は、渡邉氏の推薦で麻生氏の秘書も務め、落選も経験しながら当選5回の中堅議員となったからだ。

このため、「麻生、渡邉両氏は“子飼い”の薗浦氏の早期政界復帰を実現するため、今後もさまざまな手を繰り出すはず」(自民長老)との指摘もある。その一方で「今回の経緯をみてももともと札付きの人物で、もはや中央政界復帰は困難」(自民党ベテラン議員秘書)との厳しい見方も出始めている。

自民党内で後継候補見送り論も浮上

来年4月23日の衆参統一補選は、現行制度の下で千葉5区だけでなく衆院和歌山1区や山口4区も実施される見通しだ。さらに、体調不安を抱える岸信夫首相補佐官が来年2月までに議員辞職する可能性もあり、その場合は岸氏が当選してきた山口2区も補選実施の対象となる。

そうなると「いずれも政治的に大注目の選挙」(自民幹部)となるのは確実で、結果次第では岸田首相の政権運営がさらに厳しくなる可能性も指摘されている。

こうした状況も踏まえ、各党は直ちに千葉5区での候補擁立作業に着手。まず、国民民主党が21日、千葉5区補選に、浦安市議で新人の岡野純子氏の擁立を決めた。同党は衆院小選挙区の「10増10減」に伴う新千葉5区でも岡野氏を公認する方針。

これに対し、自民党の内情は複雑だ。同党千葉県連は22日、所属国会議員の会合で対応を協議したが、「勝てる候補を見つけるのは難しい」との声が相次いだ。同補選は「政治とカネ」のスキャンダルが焦点となるため、同県連内部では後継候補擁立の見送り説も浮上する。

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