緩和修正で崩壊「インデックス投資最強説」の死角 「みんなが買っているから」に潜む落とし穴

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加えて注意したいのが、インデックス投信が対象とする指数の銘柄入れ替え時に発生する「隠れコスト」だ。東証株価指数やS&P500などの指数で銘柄入れ替えが実施される際は、事前のアナウンスがある。アクティブ投資家は先回りして売買することができるが、インデックス投信は指数と完全に連動させる商品設計のために、実際の銘柄入れ替えと同じタイミングまで売買を行えない。

結果的にインデックス投信は、銘柄入れ替え時に不利なタイミングでの売買を強いられる。インデックス投信はbps(1bpsは0.01%)単位でのコスト競争が続いているが、この「隠れコスト」は年間数十bpsに及ぶと指摘する研究もある。これでは、低コストだからというイメージでインデックス投信を買う意味が薄れてしまう。

インデックス最強説支持の心理

――では、なぜインデックス最強説がここまで定着したと考えるか。

香月:インデックス型がここまで流行した最大の理由はテクノロジーの進歩とコスト競争の激化の結果である手数料の安さだ。高いものを買ってうまくいかないのは腹が立つが、手数料が安いもので負ければ事態を比較的受け止めやすい。みんなが買っているものだから、仮にそれで損失を被ったとしても「仕方ない」と納得しやすい心理的要因もある。

インフルエンサーや芸能人が持ち上げるからといってインデックス最強説を鵜呑みにするのは危険だ。しかし、そもそも国の政策は投資の促進にフォーカスしているので、心理的に最初の一歩を踏み出しやすいインデックス投資の長期的な積み立てを後押しすること自体、施策の意図を実現する消去法的なアプローチとしては間違っていないのかもしれない。ただし、それは効率的な運用手法は何かという議論とは全く異なるレベルの話だろう。

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