「2023年日経平均3万円回復」が無理筋でない理由 日本株の先行きが明るいと言える有力指標は?
2023年の日本株を予想するうえで、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)の金融政策とインフレ動向が重要なのは言うまでもない。
現在、アメリカのインフレ率は、家賃や労働コストが高止まりしているものの、エネルギー価格の低下や中古車を中心とする財価格の落ち着きを背景に、鈍化傾向にある。またこの間、FRBによる果敢な金融引き締めとそれに伴う需要減退も貢献しており、短期的にはさらなる鈍化が見込まれる。
このままインフレ率が落ち着いていけば、FRBは2023年3月までに政策金利であるFF金利を5.00~5.25%まで引き上げたところで利上げを停止するだろう。その先については2023年中に利下げに踏み切るのか、それとも2024年まで持ち越しなのか、意見の分かれるところだ。直近のFF金利先物は、2023年中に約2回(0.5%分)の利下げを織り込んでいる。
このように利下げを前提に現在の株価が成立していることを踏まえると、今後、何らかの要因で利下げ見通しが修正を迫られると、株価にマイナスの影響が出ることは認識しておきたい。
なぜ中国経済と商品価格に注目すべきなのか
実は、筆者が2023年にアメリカのインフレ率を予想するうえで注目しているのは、同国の指標もさることながら、中国経済と商品(コモディティ)価格だ。
まず、足元の中国経済を見ると、11月のPMI(購買担当者景気指数・財新/S&Pグローバル)は製造業が49.4、非製造業が49.2と、ともに好不況の別れ目となる50を下回っており、停滞感の強い状況にある。11月まで継続していたゼロコロナ戦略によって経済活動は停滞を強いられ、鉱工業生産、小売売上高といったマクロ指標は総じて減速基調にあり、これらは国際商品市況を下押ししてきたと考えられる。
もっとも、12月に入ると当局の公式な宣言がないまま、ゼロコロナ政策は事実上終了した。直近では感染者数や死亡者数が急増していると伝わっているが、大きな方向感としては今後の経済活動再開の道筋が開けてきたといえるだろう。仮に今後、欧米のように中国経済が正常化するとしたら、そのときに何が起きるのか、考えてみたい。
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