餃子で復活「東スポ」に学ぶ"必勝ブランディング" 崖っぷちから「東スポブランド」を確立できた訳

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「『ど冷えもん』という冷凍食品の自動販売機を購入したんです。この自販機に東スポカラーをデザインし、誰の目にも目立つものが、もうすぐ仕上がってきます。そこで販売するのはもちろん東スポブランドの食品で、弊社がある東京・神田に置くことになっています。

これら自販機についても、設置したらメディアに取り上げてもらうようにいろいろと仕掛けを練っています。

メディアには常に新しい情報を提供することで、消費者に忘れられないようにしなければならない。そうすることで『東スポ餃子』を販売する小売店にも喜んでいただけますからね。

『東スポからあげ』の方は、今のところ1キロの業務用だけを販売していますが、これではご家庭で使っていただくにはなかなか難しい。現在は日本食鳥協会と、キッコーマンの子会社の宝醤油のご協力をいただいて、家庭用向けレンチン唐揚げの開発を進めているところです」

「東スポ」という文字は、人や場を和ませる

鈴木副社長はいろいろなメディアとの付き合いがあるという。特に、「東スポ餃子」プロジェクトを進めてから分かった東スポの魅力についても語ってくれた。「東スポ餃子」を販売してから戸田商事では、社員全員の名刺を新調した。名刺の裏に「東スポ餃子」と「東スポからあげ」の商品写真をカラーで印刷したのだという。鈴木副社長はいう。

「初めてお会いする方に名刺を渡した際に必ず、『裏を見てください』と一言付け加えます。すると初対面で緊張していた方も、『えっ』とか、『ほっ〜』と驚いてくれる。そして最後は必ず笑顔になるんです。次には、『この餃子、テレビで特集されてましたよね!?』や、『ネットでも拝見しました』といって会話がスムーズに展開していく。

生真面目に『初めまして』と挨拶するのとは違い、すぐ笑顔になっていく。まさにつかみはOKです。『東スポ』という文字には、何か人や場を和ませ、ホッとさせる不思議な言霊がありますね。

驚くのはこの言霊パワーをまだ、東スポの一部の人たちが気がついていないことです。それと役得だなって認識したのは、東スポは敵がいない新聞社だということですね。

『東スポ餃子』に関連し、あの朝日新聞からも取材を受けたくらいです。要は何をやっても東スポだから……と許される。しかも、東スポっていえばズルいんですが、最初は笑っちゃうようなところもありますね」

次ページ“東スポ”と“おいしさ”の意外な組み合わせ
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