餃子で復活「東スポ」に学ぶ"必勝ブランディング" 崖っぷちから「東スポブランド」を確立できた訳
「ヒヤヒヤを通り越してヒリヒリしていた。商社にしても、わざわざ棚を押さえたのに商品を送ることができなければ、店の棚に空きができてしまうわけです。そうなったら、スーパーや百貨店などからものすごいペナルティを科せられることになってしまうんです。
すべては信用商売です。リスクが低いといっても在庫を抱える側にしたら緊張の連続だった。
しかも、食品流通業界には3分の1ルールというものが存在する。製造日から賞味期限間の3分の1以内のものしかメーカーは納品できない仕組みなんです。それを1日でも過ぎたらアウト……。
万が一、ロットを作り過ぎて大量に在庫を抱えてしまった場合、期日がきたら破棄せざるを得ないという最悪の事態も起こりうるわけです。食品製造業はそういう点で難しい部分がありますね」(鈴木副社長)
そして、2022年9月――。戸田商事が東スポとコラボした「東スポ餃子青森県産ニンニクマシマシ50個入」(税込み希望小売価格2484円)の家庭用サイズ「東スポ餃子青森県産ニンニクマシマシ15個入」(税込み抜希望小売価格645円)が、全国でも発売された。
世の中に「東スポ餃子」を知られるようになったきっかけは、「Yahoo!ニュース」で記事がアップされたことだったという。当初、動画を作りYouTubeにも番組をアップしたが、反応はいま一つ。
しかし、「ヤフトピ」で「東スポ餃子」が取り上げられた瞬間、一気に火がついたのだ。以来、テレビや雑誌などのメディアから取材依頼が殺到するようになった。
消費者に忘れられないようにすることが大事
さらに東スポ紙面にも競うように記事を掲載した。やがてこれらの記事が複合的効果を生み、また、新たな媒体に取り上げられていったという。
戸田商事の傘下である大和フーズは「ギョームー」という商品を販売する自社サイトを独自に完備している。驚いたのは「楽天」や「Amazon」などの販売プラットフォームに何も登録していないにもかかわらず、発売から約3カ月足らずでネットのアクセス数が4万件以上に膨らみ、さらなる注文も入ったことだった。
「それからは老舗の卸元や日本全国にスーパーを展開する会社からも問い合わせがきた。そして新たに餃子から派生した『東スポポテトチップス』の販売にもこぎつけた。食品としての東スポブランドがそれだけのステータスを得たということですよ」(鈴木副社長)
とはいえ、何事も好事魔多しということわざがある。どんなに順風満帆とはいえ、一点の曇りもなく新プロジェクトは今後も進み続けることができるのだろうか? さらにこれから食品事業を成長軌道に乗せていくために、東スポと戸田商事はどんな事業プランを計画していくのか? 鈴木副社長は開口一番、自動販売機戦略を口にする。
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