中国経済がようやく本格的な再開に向かう。新型コロナウイルス対策としての約3年に及ぶ大規模検査と厳格なロックダウン(都市封鎖)が景気を損ね、国民の怒りを買った後、習近平指導部は予想外のハイペースで「ゼロコロナ」政策を解除している。
事実上放棄されたゼロコロナ政策下では、新型コロナは極めて危険で、強制的な手法を用いてでも排除しなければならないとされてきたが、中国全土に今広がるオミクロン系の変異株は、季節性インフルエンザよりも危険ではないというのが公式見解だ。政府のアドバイザーを務める感染症専門家の鍾南山氏は、オミクロン変異株による死亡率はインフルエンザと変わらないと述べた。
この政策転換は金融市場を高揚させた。香港で取引されている中国本土株は8週間で30%余り値上がり。サプライチェーンの混乱が解消され、ロックダウンから解放された市民が財布のひもを緩めるとの期待からだ。ウォール街の大手銀行は、世界2位の経済大国が来年どの程度の成長を遂げるかを巡り、相次ぎ予測を上方修正している。
ただ、中国の実体経済は大きく様相が異なる。当局が検査義務やロックダウン、厳しい感染者隔離などを取りやめると12月初旬に発表した際は活気があり、11月下旬に街頭での抗議活動でゼロコロナ政策に異を唱えた多くの人々が勝利したようにすら見えた。