「仮想通貨大暴落」3つの要因から予測する未来図 投資するなら千載一遇のチャンスと見ていいのか

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1.テラUSDの大暴落……アルゴリズム型ステーブルコインである「テラUSD」が暴落したのは5月。ステーブルコインというのは、ドルなどの法定通貨に連動するように設定された仮想通貨のことで、本来であればドルと連動するはずだったテラUSDが、ドル価格の急上昇に追いつけずに暴落してしまった。この時点で1BTCあたり600万円近かった価格は400万円を割り込む水準まで暴落している。

2.FRBの金利引き上げ懸念……アメリカの中央銀行に当たる「FRB(連邦準備制度理事会)」による金利引き上げが加速し、株式市場をはじめ債券市場などが大きく下落。インフレ対策として、金融引き締め政策を世界各国が取るようになったことから、リスク資産から安全資産への逃避が進行し、仮想通貨の価格も暴落。ビットコインの価格も400万円超から200万円半ば近くまで下落した。

3.仮想通貨取引所「FTX」の経営破綻……そして、とどめを刺したのが仮想通貨交換取引所の大手のひとつだったFTXが経営破綻したことだ。その余波は現在も続いているが、仮想通貨市場全体のシステム不安にも及ぶ可能性があるとして、市場全体に大きな影響を与えた。もともと下落していたビットコインも300万円台から230万円台まで下落することになる。

2022年は、ロシアによるウクライナ侵攻が最大のビッグニュースといっていいが、当初仮想通貨は「有事」に強いと思われていた。しかし、結局のところ仮想通貨市場内部の問題が吹き出て、大きく価格を下げたわけだ。円ベースで見ると、円安の進行で比較的暴落幅は軽微だが、ドルベースでは大きな下落となった。

叫ばれる規制強化だが…

こうした仮想通貨の急激な値下がりは、さまざまな分野に影響を及ぼしているかに見えるが、実はそうでもない。ほとんどが仮想通貨市場の内部だけで崩壊しており、銀行などの実体経済にはあまり大きな影響はなかったようだ。

アメリカのイエレン財務長官も、FTX破綻を受けて、「十分な規制が必要」としながらも、「銀行部門に波及していない」という発言をしている。仮想通貨市場全体が特有の進化を遂げてきているせいだが、もうひとつ大きな要因は、まったく新しいイノベーションに支えられているからともいえる。

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