「仮想通貨大暴落」3つの要因から予測する未来図 投資するなら千載一遇のチャンスと見ていいのか

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①政府による規制が最大のリスク

サルのイラストで有名なNFTアートのひとつに「ボアード・エイプ・ヨット・クラブ(BAYC)」があるが、その販売を手掛けている「ユガラボ」に対して、アメリカのSEC(証券取引委員会)が「連邦法に違反している疑いがある」として調査に乗り出す、とブルームバーグが伝えた。その報道だけで価格が大暴落したといわれる。同じブロックチェーン技術を使った仮想通貨もまた、政府の規制報道には弱い。

②厳格なセキュリティーが不可欠

仮想通貨交換所などは、ネットに接続しているために厳格なセキュリティーが求められる。日本でも起きた事件だが、ハッキングによって莫大な資金が盗難にあう可能性がある。大手取引所なら安心かというと、そうでもなさそうだ。

余剰資金や積み立てなど、あくまでも自己責任で

③外部要因による価格の乱高下がある

政府による規制もその一つだが、バックボーンが何もない仮想通貨の場合、政策変更や株式市場の異変などの外部要因に弱い。また、テスラCEOのイーロン・マスク氏のちょっとした発言が仮想通貨の価格を大きく乱高下させることもある。有名人の発言や行動にも要注意だ。

④決済機能や税制上の問題など

現在、ビットコインを使って決済できる店舗はまだまだ少ない。ビックカメラやコジマ、ソフマップ、メガネスーパーといったところしか全国チェーンでは使えない。徐々に増えつつあるが、価格変動がこうも激しいと将来的にはあまり望めないかもしれない。また税制面でも、海外送金の際の申告方法などの問題点が残されている。

いずれにしても、現在の1BTC=220万円台という水準が底値だという保証はどこにもない。ひょっとしたら、これからさらに100万円程度下落する可能性も十分にある。投資するなら、あくまでも、なくなってもいいと思うような余剰資金を投じることをお勧めしたい。積み立てのような形で「ドルコスト平均法」を使って投資するのもひとつの方法だ。ただ、あくまでも、個人の自己責任でチャレンジすると考えておかねばならないだろう。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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