2023年の卯年、日経平均は跳ねないかもしれない カギ握る日銀、高値と安値はいくらになる?

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一方、西暦で3がつく「癸」の年の相場はどうだろうか。癸年は平均騰落率では+11.5%と、十干中5位。勝率で見ても5勝2敗で4位と、結果は悪くない(上昇年は、1953年・1983年・1993年・2003年・2013年。下落年は、1963年・1973年)。

主な事件は以下のとおりだ。国際政治では、1953年3月のスターリン死去、前出の1963年11月のケネディ大統領暗殺、1973年1月ウォーターゲート裁判開始、1993年11月EU(欧州連合)発足、2003年12月サダム・フセイン元大統領拘束など。

国内政治では、1983年10月ロッキード事件で田中角栄元首相に実刑判決があった。また、1993年7月総選挙では自民党が敗北、過半数割れを喫している。これら以外では、1973年2月に円が変動相場制に移行(1ドル=277円で開始)、同年10月には第4次中東戦争が勃発、第1次オイルショックが起きている。

さらに、2013年3月には日銀総裁に黒田東彦氏が就任、同年4月には日銀が異次元の金融緩和策を導入した。あれから10年。「2023年春には、ついに日銀総裁が交代する見通しであり、注目したい」と締めるつもりだったのだが、なんと、2023年を待たずに2022年12月20日、黒田総裁率いる日銀が金融政策を転換、いよいよ動いたのだ。

為替は一気に「ドル高修正」へ

ドル円相場は、国内株式市場の取引時間中に1ドル=137円台から133円台まで、さらに夜には1ドル=130円台まで、一日で約6円の急速な円高となった。

私の2023年のドル円相場の想定は1ドル=125円(最高値は1ドル=120円)であり、20日の値動きだけを見ると、やや速いスピードだ。だが、マグマがたまっていただけに、まったく違和感はない(マーケットはサプライズで驚いているが、円高待ったなしとみていた私は想定内だ)。

一体、何が起きたのか。日銀は10年国債の金利の動く幅(レンジ)を上下に0.25%としていたが、上下0.50%にまで幅を広げたのだ。黒田総裁は「超金融緩和を継続したままの一部調整だ」としているが、マーケットは事実上の利上げと受け止めたため、為替は大きく円高に振れた。

これまで、欧米がこぞってインフレ対応のため、政策金利を大幅に引き上げてきた中、日本はかたくなに金融緩和を続けていた。そのため、日米金利差によるドル高(円安)が続くと誰でも想定しやすく、フリーランチの様相だった。

実際、日本では欧米ほどインフレが深刻化しておらず、日銀はだんまり(金融緩和継続)を決め込んでいた。もっと言うと、急速なインフレによってアメリカの中間選挙で苦戦と報じられていた民主党の議席獲得に貢献すべく、日銀はサポートとして金融緩和を続けていたようにも映る(アメリカのインフレ退治に間接的に貢献していたようだ)。同国の中間選挙が終わり、民主党が想定より善戦したため、日銀は動きやすかったに違いない。

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