イタリアのクリスマス菓子「パネットーネ」の真実 本当においしいの?正しい選び方を教えます

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イタリア国内で売られているパネットーネは、スーパーマーケットなどで売られる大量生産品なら1個(1キロ)5~10ユーロ(約720~1440円)程度。ところがケーキ店の手作り品、一流シェフのこだわり品となると40~50ユーロ(約5760~7200円)という値段がついていて、なかなか手が出ない。お菓子好きな人ならクリスマスシーズン中に何個も買って食べるから、かなりの散財である。

1キロというと、かなり大きいような気がするが、直径は17~18cm、高さ25cmぐらいで、8~10等分にカットして1人1切れ、またはそれをさらに半分に分けて食べるイメージだ。クリームなどが付いていないから思ったよりペロリと食べられる。イタリアでは1キロサイズが一般的だが、大きく焼いたほうがしっとりおいしい仕上がるので、日本で買う場合も1キロサイズが断然おすすめだ。

11月にもなると、スーパーマーケットにもさまざまなタイプのパネットーネがずらりと並ぶ(筆者撮影)

どんな値段の商品でも輸出コストがかかる

さて、イタリア国内でも何千円もするパネットーネを海外へ輸出したらどうなるか。

パネットーネに限らず、物を輸出した場合、元の価格の3倍ぐらいになるのが相場という話を輸出入の専門家などからよく聞く。関税や送料、宣伝費などの経費、人件費をプラスし、ビジネスとしての最低限の儲けを出そうとすれば、それぐらいになってしまうのだという。つまり大量生産品の10ユーロのパネットーネでも30ユーロ、現在の為替で計算したら4298円だ。シェフのこだわりパネットーネに至っては、イタリアでの値段が40ユーロだとするとその3倍の120ユーロ=1万7193円になってしまう。もちろん実際には業者価格というのがあって、元の値段は私がここで書いたものよりもかなり安いはずだが、それでも、輸出にはかなりのコストがかかることには変わりがない。

ケーキに約2万円を払いたい人は今のご時世ではあまりいないだろう。4200円だって、誰もが気軽に買えるという値段ではない。するとインポーターたちはどうするか? もっともっと安いパネットーネを探すのだ。世の中需要と供給のバランスはうまく取れるようにできていて、イタリアには輸出専門のパネットーネを作る業者がいるという。イタリア市場には出回らない、輸出コストを乗せてもなお高価になりすぎない、輸出専用の商品というものがあるのだそうだ。

さて、そこで考えてみたいのが、5ユーロ以下のパネットーネと40ユーロのパネットーネの違いはなんなんだろうということだ。ケーキ店や有名シェフたちはブランド名を利用して暴利をむさぼっているのだろうか? いや、そういう人や企業も一部あるだろうが、すべてがそんなことはないはずだ。では材料が違うのか、作り方が違うのか?

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