イタリアのクリスマス菓子「パネットーネ」の真実 本当においしいの?正しい選び方を教えます

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ピール類が苦手な人向けにレーズンだけのもの、チョコレートチップ入り、中にクリームやチョコレートクリームが入ったタイプなど以前からあるものに加え、最近ではピスタチオクリーム入り、あんずやラズベリー、マロングラッセ、リモンチェッロ入りなどなど、選ぶのに困ってしまうほどだ。

私が毎年大人買いする有名菓子店のパネットーネ。自家製のオレンジピールが香り高く、しっかり膨らんでいる(筆者撮影)

さらにパネットーネ・サラート (しょっぱい系パネットーネ)なるものも登場。オリーブ入り、ドライトマト入り、果てはサラミとビール入り、カラブリア特産の辛いサラミ入りなどなど、ワインが飲みたくなるようなラインナップ。パネットーネにサラミ?と一瞬思うものの、よく考えたら甘い生地に塩味の具という組み合わせは最近のお菓子業界の流行にもなっているし、もともと甘しょっぱい味が大好きな日本人には、案外ウケるのではないだろうか? 

国内外の「好きじゃない」声はなぜ

そんなパネットーネだが、実は「好きじゃない」という人がイタリア人の間でもとても多い。かくいう私も、以前は好きじゃない派だった。好きじゃないという人の半分ぐらいは「中に入っているオレンジピールや干しぶどうが好きじゃないから」という。私もまさにそう思っていた口だが、何年か前、とてもおいしいオレンジピールの入ったパネットーネに出合って以来、今ではすっかりパネットーネ派になっている。

一方、オレンジピールやドライレーズンに関係なく、とにかくパネットーネなんておいしくないじゃないか、と思っている人もいるらしい。とくにイタリア国外でそういう声が多いようで、以前、そういうことを書いた日本語の記事も読んだこともある。

なぜ国外で食べるパネットーネはおいしくない、好きじゃないと思われてしまうのか? 考えてみると答えは簡単。国外で販売されているパネットーネは、ほとんどがまずいものばかりだからなんだと思う。もちろん人それぞれ好みがあって、どんなに立派なパネットーネを食べても好きじゃない、と感じる人はいるだろう。だがイタリア国外、とくにEUより外の遠い国=例えば日本などにイタリアから輸入されるパネットーネが、多くの人から愛され、おいしいと思ってもらえるためには、高い高いハードルを越えなくてはならないのだ。

そのハードルとは、値段の問題だ。

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