アメリカでマスク着用が再び勧告され始めた理由 「トリプルデミック」で医療逼迫が近づく

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呼吸器ウイルスの広がりを抑えるには、手洗い、表面消毒、空気の濾過といった、マスク以外の公衆衛生対策も重要だ。ホワイトハウスやCDCがとくに重視しているのはワクチン接種で、未接種の人はインフルワクチンと最新の新型コロナワクチンのブースター接種を受けるべきなのは言うまでもない。ただ、ワクチンは感染した際に重症化するのを防ぐためのものと考えておいたほうがよい。マスクこそが感染防止の第一防衛ラインだ。

「感染の広がりを防ぐという点では、正直なところ、抗ウイルス薬もワクチンもあまり効果が出ていない」。スタンフォード大学医学部のフェロー兼ポスドク研究員として感染症を研究するアブラール・カラン博士は「感染の広がりを防ぐのは実際にはマスクであり、空気の濾過にも効果があるだろう」と話す。

知人とのマスクなしパーティーは検査が大前提

いつどこでマスクを着用するかの判断に関しては、マダドは「3つの密」に注意を払うよう勧める。密接、密集、換気が不十分な密閉空間の3つだ。取材した専門家は、飛行機や公共交通機関で移動するときにはマスクを着用するよう強く促し、食料やギフトを買いに行く際にもマスクの着用を強く推奨している。

クリスマスシーズンに知人同士で小規模なパーティーを行う場合は、参加者が事前に検査を受け、体調の悪い人が自宅にとどまるのであれば、マスクを着用しなくても問題はないとのことだった。

現実には、アメリカのすべての人、あるいは特定の都市のすべての人がマスクを着用するといったことにはならないだろう。それどころか、店や飛行機でマスクを着けているのはあなただけ、といった場面も出てくるかもしれない。

それでも、そうした状況に流されないようにしたい。そもそも他人は、あなたが考えているほどあなたのことを気にしてはいない。これは社会心理学で「スポットライト効果」と呼ばれているものだと、カーネギーメロン大学のグレッチェン・チャップマン教授(社会学・意思決定学)は言う。

「マスクを着けているせいで皆からジロジロ見られているように感じるかもしれない。それでも他人が気にする優先度からしたら、実際にはたぶん、あなたはリストの上位10番目にも入らない」

(執筆:Dana G. Smith記者)
(C)2022 The New York Times

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