親子で学び直し!「米中対立」は何が根深い問題か 両国リーダーのキャラを超えた構造的な課題

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例えば世界のGDPの4割を占める主要7カ国(G7)のアメリカ以外の6カ国をみると、民主国家であるだけでなく、外国から攻められた際にアメリカに守ってもらえる同盟国だという点で共通しています。

国と国との約束において、この軍事同盟の条約ほど大事なものはありません。それは国民の生命を守ることに直結するからです。

結束を保つG7でも、中国に対する姿勢にはやや温度差があります。欧州諸国では中国の経済力を取り込もうとする動きが途絶えていません。

ヨーロッパ最大の経済大国であるドイツのショルツ首相は2022年11月、大企業の経営者たちを引き連れて中国を訪問しました。中国から地理的に遠く、軍事的な脅威を実感しにくいうえ、中国がもたらす経済的な利益には無視できない魅力があるからです。

インドやインドネシアといった新興国の多くは米中の間で旗幟(きし)を鮮明にせず、中立的な立ち位置を探ろうとしています。自らの国益のために、どちらの大国からも重視されて双方から有利な条件で経済協力を引き出す戦略をとろうとしているのです。

それに政治体制が民主的でない、世界の多くの新興国では、民主化を掲げるアメリカの動きを「内政干渉だ」と警戒する向きがあります。

日本の戦略的価値は高まっている

一方で、経済力を振りかざして各地で尊大に振る舞う中国の姿勢に反感を持つ国も少なくありません。アメリカが主導し中国が反対したロシアのウクライナ侵攻を非難する国連決議に、かなりの数の新興国が棄権票を投じた背景にはこうした事情があります。

日本は米中対立の最前線に位置し、中国と歴史的、経済的に深いつながりを持っています。2023年はG7の議長国で、5月には広島でサミットを予定しています。

アメリカと中国のいずれにとっても、アジアにおけるG7の唯一のメンバーである日本の戦略的価値は高まっています。

アメリカとの同盟関係に軸足を置きながら、偶発的なトラブルや誤解が生じないように中国との対話のチャンネルも保つ。日本がG7で存在感を示せるかどうかは、そういったアジア地域の安定に向けた独自の貢献策を見いだし、実行していけるかにかかっています。

田中 孝幸 国際政治記者

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たなか・たかゆき / Takayuki Tanaka

大学時代にボスニア内戦を現地で研究。新聞記者として政治部、経済部、国際部、モスクワ特派員など20年以上のキャリアを積み、世界40カ国以上で政治経済から文化に至るまで幅広く取材した。大のネコ好きで、コロナ禍の最中で生まれた長女との公園通いが日課。著書に『13歳からの地政学』など。ツイッター:https://twitter.com/spiritof1993ya1

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