親子で学び直し!「米中対立」は何が根深い問題か 両国リーダーのキャラを超えた構造的な課題
国と国の関係も人間関係と同じで、けんかをするよりは仲良くするほうがお互いにとってプラスが多いものです。ある国の企業がせっかく魅力的な商品を作って世界に向けて売ろうと思っても、外国との仲が険悪になれば高い関税をかけられたり、そもそも輸出できなくなったりします。
それに国家間の不信感が強まれば、それだけ軍事費を増やすようになり、社会保障や教育といった、生活に大事な分野にお金が回らなくなります。
それなのに、なぜ対立を深める方向に向かっているのでしょうか。実はその背景には、バイデン大統領や習近平国家主席といったリーダーたちのキャラクターを超えた構造的な問題があります。
豊かになる余地は徐々に小さくなる
まず、中国が抱える問題をみましょう。
中国の国内総生産(GDP)は2021年までの20年間でおよそ13倍に膨らみました。人口はあまり増えていないので、わずか1世代で1人当たりにすると10倍以上豊かになった計算です。
ただ、これは日本を含めた多くの国でも起こったことですが、高度経済成長は年々、続けるのが難しくなります。豊かになる余地が徐々に小さくなるからです。長年の一人っ子政策で人口が減り、社会が高齢化する方向に向かっていることも、経済成長にはマイナスになります。
中国では近年、共産党が国を豊かにすることで、権力を持つことを国民に納得させてきました。
毛沢東のように戦争に勝って国をつくった実績もなく、国民の選挙で選ばれたわけでもなく、過去のような高成長も見込めない現代の中国のリーダーが言うことになぜ従い続けなければいけないのか。これは昔の貧しさを知らない若者たちにとっては納得しがたいものになっています。
中国各地では最近、若者たちによる反体制デモが発生し、監視や弾圧で市民の不満を抑え続ける手法に限界があることを印象づけました。
だからこそ、中国の指導層には新たな実績が必要なのです。そこで目指しているのが「アメリカと肩を並べる大国になる」と「台湾統一」の2つ。国外に敵を設定し、それに打ち勝つというわかりやすい目標を掲げることで国民をまとめる戦略ともいえます。
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