異例ずくめ「M-1グランプリ2022」見所を徹底解説 初出場の3組から考える今大会の大きな特徴

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「クスッと笑えるというよりは、ドッと笑えるもの。とくに去年の単独ライブは、そういうネタを多めに作ってM-1用に準備してました。そのほうが審査する人たちからしても上げやすいとも思うし」(清水)

「この2年ぐらいは“はっきりとした立ち位置のネタ”っていうのを多めに作ってます。(中略)そもそも変わったネタが多いんですけど、『少しでも多くの人が面白いと思えるような作りにしよう』という意識は強くなりましたね」(ぴろ)

(2022年6月24日、FRIDAYデジタルに掲載された「独特な世界を放つ漫才コンビ・キュウが狙う『ドッと笑えるもの』」より)

とはいえ、ダイヤモンド、キュウが視聴者投票の敗者復活戦で勝ち上がるのはなかなか難しいところがある。だからこそ準決勝の審査員は、そんな彼らを決勝の舞台に押し上げ、歴史あるM-1に新たな風を吹かせたかったのかもしれない。

M-1の大きな分岐点になる大会

そのほか、カベポスター、男性ブランコの2組も初出場組だ。カベポスターは、構成力の高さに定評がある。2020年、2021年とM-1準決勝進出。今年に入って関西の賞レースである「ytv漫才新人賞」「ABCお笑いグランプリ」で優勝。勢いづくコンビが満を持してのM-1決勝となった。

コント師・男性ブランコは、「キングオブコント2021」でザ・マミィとともに準優勝となってから一気に知名度を上げた。同年のM-1敗者復活戦で3位となり、漫才でも結果を出した。彼らはボケ数こそ少ないが、コント師らしい着想で確実に笑いをとっていく。今年は、決勝の舞台で審査員にどう評価されるか楽しみだ。

2度決勝経験のある4組を含めても、トリッキーではないしゃべくり漫才はウエストランド、さや香、カベポスターのみ。真空ジェシカ、ロングコートダディ、男性ブランコは漫才コント、残りは独自のスタイルを持つコンビが勝ち上がった。

つまり、現メンバーでは正統派のしゃべくりが目立ちやすい。敗者復活からオズワルドやミキが選出されれば、そのまま優勝する可能性もあるだろう。他方で、ななまがり、令和ロマンらが上がれば確実に会場を沸かせるだろうし、ストレッチーズ、ママタルトなら、向こう3年は続くであろう新たな波の起点になるかもしれない。

さまざまな世界線が想像される今大会。山田邦子、博多大吉が審査員に決定したことも含め、今年の決勝がM-1における大きな分岐点になるのは間違いないだろう。

鈴木 旭 ライター/お笑い研究家

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Akira Suzuki

2001年から東京を拠点にエモーショナル・ハードコア/ポストロックバンドのギターとして3年半活動。脱退後、制作会社で放送作家、個人で芸人コンビとの合同コント制作、トークライブのサポート、ネットラジオの構成・編集などの経験を経てライターに転向。現在、『withnews』『文春オンライン』『現代ビジネス』『FRIDAYデジタル』といったウェブ媒体、『週刊プレイボーイ』(集英社)などの紙媒体で記事執筆中。著書に著名人6名のインタビュー、番組スタッフの声、独自の考察をまとめた『志村けん論』(朝日新聞出版)がある。

 

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