京都鉄道博物館、車両展示だけでない「重要使命」 「大地震」で鉄道ストップ、帰れなくなったら?

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官民でつくる協議会がまとめた「京都駅周辺地域都市再生安全確保計画」によると、京都駅周辺(下京区・南区)の非居住者で、勤務先などの所属施設がなく、徒歩で自宅に戻ることができない帰宅困難者は約2.8万人と推計される。これに加えほかの地域からの流入も想定される。

緊急避難広場は「災害直後、観光客等の安全を確保するため、一時的な滞留及び災害情報の提供などを行う場所」をいう。これまでに、京都駅北口広場(JR西日本)、同駅八条口通路(JR東海)、同駅1階通路(近鉄)、東本願寺、西本願寺、東寺、京都水族館が指定されている。一方、一時滞在施設は「緊急避難広場に滞留している観光客等が休憩・仮眠できる場所」を指し、駅周辺のホテルやホール、上記の寺院など19カ所がある。市全域では緊急避難広場が50カ所、一時滞在施設が127カ所あるという。

「本番はこんな状態でない」

普段は着物姿がトレードマークの門川大作市長も防災服で訓練の一部始終を見守った。終了後「本番はこんな状態ではない。言葉がまったくわからない外国人もいる。今回はさまざまな想定外のこともあったと思うが、それぞれで検証してもらい、安心・安全なまちづくりに取り組んでいきたい」と話した。

京都鉄道博物館の前田昌裕館長は「訓練では思った通りに連絡ができなかったり、避難に時間がかかったりと反省点はあった。災害時は外に避難するだけでなく、緊急避難広場や一時滞在施設として外から入ってくる方々をいかに受け入れるかが重要だ」と振り返った。

古い寺社仏閣が数多く残る京都も大地震と無縁ではない。1596年の慶長伏見地震の際は、豊臣秀吉が築いた伏見城や方広寺の大仏などが甚大な被害に見舞われたと伝わる。京都に限らず、遠方へ観光に出かける場合は、大災害による交通の寸断に巻き込まれたらどうすればよいか、旅行のプランを練る段階で考慮に入れておくべきだろう。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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