京都鉄道博物館、車両展示だけでない「重要使命」 「大地震」で鉄道ストップ、帰れなくなったら?

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京都鉄道博物館の避難訓練
緊急避難広場である京都鉄道博物館の扇形車庫前に集まる帰宅困難者対策訓練の参加者(記者撮影)
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鉄道開業150年の記念行事に沸く2022年10月、京都鉄道博物館は1938年製の一等展望車「マイテ49形2号車」が加わり収蔵車両が54両となった。同年8月には、2016年のグランドオープン以来の来館者数が500万人を超え、有名寺社仏閣と並ぶ京都の観光名所の1つとして存在感を増してきた。

「京都で震度7」想定

市内の紅葉シーズンが終わりに近づく12月6日、休館日で静まりかえった館内に約140人が集まった。一部は「来館者」と大きな文字が書かれたビブスを着用している。

この日実施したのは大地震を想定した訓練。だが、来館者を外に避難させるだけの訓練ではない。京都駅周辺の事業者やホテル、寺院の関係者が役割を分担して参加した「帰宅困難者対策訓練」で、鉄道などの公共交通機関がストップして帰宅できなくなった事態をシミュレーションした。

交通事業者からは近畿日本鉄道や京都市交通局、JR西日本、JR東海の関係者らが帰宅困難者役として参加。外国人観光客役は留学生が担当した。避難誘導するのは、普段は展示の解説をする学芸員を含めた博物館のスタッフだ。

訓練は10時30分過ぎ、大阪北部を震源とするマグニチュード8.2、京都で震度7を記録する大地震が発生したとの想定で開始。「ただいま大きな地震がありました。館内の確認を行いますので、お客さまは動かず、頭を守る行動をしてください」という放送が入った。博物館スタッフは「お客さまはその場にとどまってください」「おけがをされた方はお声がけください」と呼びかけていく。

京都鉄道博物館の帰宅困難者対策訓練
訓練の地震発生直後の様子(記者撮影)
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