京都鉄道博物館、車両展示だけでない「重要使命」 「大地震」で鉄道ストップ、帰れなくなったら?

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博物館スタッフによる安否確認の後、いったん博物館最寄り駅である梅小路京都西駅の駅前広場に避難。その後、緊急避難広場としての準備が整った扇形車庫の転車台前に移動した。

京都鉄道博物館の緊急避難広場
緊急避難広場に指定されている扇形車庫に向かう(記者撮影)

扇形車庫にはかつて鉄道の歴史を彩った蒸気機関車(SL)が並んでいる。ここで帰宅可能者は1~7番線付近、一般の帰宅困難者は17~20番線付近、急病人は「ドクターイエロー」遊具付近などと分かれて待機。交通機関の復旧のメドが立たないことから、帰宅困難者は周辺の3つのホテルや博物館の館内それぞれの受け入れ先へ移動した。博物館では簡易トイレや食料・水の常備など、3日ほど滞在できる体制を整備しているという。

帰宅困難者には、氏名や住所、健康状態、医師・看護師・語学などの保有資格などを記入する受付票が配布された。この受付票には「共助の観点から施設管理者が善意で施設を提供・開設している」「施設管理者の指示に従わない場合には一時滞在施設からの退去を要求する場合がある」といった受け入れ条件を理解していることを確認する文章が記載されている。

帰宅困難者対策で協定

京都鉄道博物館周辺の風景はこの数年で大きく様変わりした。

2019年3月、JR嵯峨野線に梅小路京都西駅が開業した。駅に隣接した京都市中央市場の一角にはスターツグループが運営する「ホテル エミオン 京都」、その南側には七条通りを挟んで共立メンテナンスの「京都 梅小路 花伝抄」が建つ。嵯峨野線の東には三菱地所系の「ザ ロイヤルパークホテル 京都梅小路」、京都水族館の隣にJR西日本系の「梅小路ポテル京都」ができた。

ホテルエミオン京都
一時滞在施設の1つ、2020年7月開業のホテルエミオン京都。梅小路京都西駅に隣接する(記者撮影)

京都市は2022年8月、京都鉄道博物館やこれらのホテルの運営主体と京都駅周辺での災害時における協定を新たに締結。博物館を緊急避難広場と一時滞在施設、梅小路ポテル京都、京都梅小路花伝抄、ホテルエミオン京都を一時滞在施設、ザ ロイヤルパークホテル 京都梅小路を大内学区(下京区西部)の要配慮者(車いす利用者、妊産婦など)の一時避難施設に指定した。

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