セブンは、なぜ大阪のスーパーと組むのか 知られざる優良スーパー「万代」とは?
今回の万代との提携でも、セブングループとしては、手薄な関西地区を強化したい考えだ。万代は大阪府を中心に兵庫県や奈良県、京都府などに、約150店舗を展開しており、大阪府では食品売上高で12%強のトップシェアを誇る。万代の不破栄副社長によると、およそ1年前から情報交換を始め、2014年8月ごろから具体的な提携の検討に入ったという。今後は資本提携も予定しており、具体的な協業内容はこれから詰めていく。
「提携はしたけれど、何の要望も言ってこない。自由にやってくださいという雰囲気」と、ある提携先企業が拍子抜けするくらい、束縛はしないセブングループ。そのセブン側からすると、いったい何を求めて提携を進めているのだろうか。
重要視しているのは「地域性の強化」だ。セブングループでは昨春ごろから、セブン-イレブンとイトーヨーカ堂を中心に、各地域ならではの食材や商品、味付けを取り入れることを戦略の一つにしている。たとえばPB商品「セブンプレミアム」の肉じゃがは、全国版では豚肉を使用しているが、関西では牛肉を使用し、味付けも変えたところ、売上げが伸びたという。このほかメーカー商品に関しても、たとえばイトーヨーカ堂であれば、その地域に根付いた調味料を拡充するといった具合だ。
万代は2014年度決算も増収増益見通し
万代は大阪トップというだけでなく、この厳しい競争環境下にあって、業績を伸ばしている優良企業だ。2013年度の売上高は2793億円と、業界内でも小さくはない。
2014年度決算も増収増益が見込まれており、既存店売上高は前年度比103%を記録。「もともと低価格の強いイメージだったが、最近は鮮度など質も重視している印象。ここ数年は出店意欲も旺盛」(近畿圏の食品スーパー)と勢いもある。
スーパーが繁盛するのは、地元の人々に支持されている証拠。こうした企業と組むことで、セブン側は店作りのノウハウや、そこにしかない商材とその仕入れルートの発掘を期待できる。特にイトーヨーカ堂は2014年度の営業減益がほぼ確実という厳しい状態で、第3四半期(2014年3~11月)時点で、既存店売上高は前年同期比4%以上のマイナスだった。消費者を引き付ける商品開発ができておらず、改革が急務となっている。
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