セブンは、なぜ大阪のスーパーと組むのか 知られざる優良スーパー「万代」とは?

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実際、イトーヨーカ堂の帯広店では、ダイイチが食品売り場作りに参加し、助言を始めている。「私たちの場合、現場の担当者からほしい商品の情報をあげるが、イトーヨーカ堂は上層部が品ぞろえを決めるという意識がまだ強いように感じている」(ダイイチ)。

セブンにとって提携は、「規模拡大ではなく、質を上げていくことが目的」(セブン&アイ・ホールディングス)。共同仕入れや物流の共有によるコスト削減といったメリットの追求はそのあとになる。

関西では苦い過去もあり

実は苦い過去もある。セブンは関西で以前、近畿日本鉄道傘下の近商ストア(大阪府)と資本提携を行っていた。2011年に提携を開始し、人事交流を行うなどしていた。さらに、近鉄駅構内の売店をセブン-イレブンに切り替えるべく、交渉にも臨んでいた。が、フタを開けてみれば、近鉄はセブンのライバルであるファミリーマートと業務提携、売店はファミマになってしまったことで、関係が悪化。2014年6月に近鉄とセブンは提携を解消している。

万代とセブンが手を組んだことについて、近畿圏のライバルスーパー各社は今のところ冷静だ。「現時点では相乗効果がよくわからない。『ナナコ』(セブングループの電子マネー)が導入されると、囲い込みの効果が出てくるかもしれないが、今は動向を注視するしかない」(ある競合スーパー)。だが、安穏としてはいられない。最近は万代のような提携案が、セブングループに持ち込まれることが増えているという。

激しい競争環境の中で、地方スーパーが単独で生き残るには限界がある。今後も大なり小なり、業界再編が進むのは間違いない。将来的にはヨークベニマルのように子会社化される企業が出てくる可能性もある。セブンの拡大は今後も続きそうだ。

田野 真由佳 東洋経済 記者

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たの まゆか / Mayuka Tano

2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。

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