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過敏性腸症候群は、大腸や小腸に腫瘍や炎症などの異常が見られないにもかかわらず、下痢や便秘、ガス(おなら)を繰り返す病気だ。便通の状態などから「便秘型」「下痢型」「混合型」「ガス型」の4タイプに分けられる。
国民の5~10人に1人
日本大腸肛門病学会によると、わが国の過敏性腸症候群の有病率は10~20%とされている。
「患者さんは高校生から60歳近くまで、幅広い年齢にわたります。男女ともにいますが、症状のために通学や通勤に支障をきたすような場合、より深刻度が高いといえます 子育て中の主婦では、例えば“子どもの学校での説明会の出席は、いつでもトイレへ行けるような席でないとつらい”ということもあります」(伊藤さん)
また、「複数ある症状のなかでも、来院するケースとして圧倒的に多いのは、下痢の症状がある患者さん」と付け加える。患者のなかには、授業中や仕事中に頻繁にお腹が痛くなることを苦痛に感じ、学校や職場に行けなくなっている人もいるという。
一般的な下痢は、食あたりなどでお腹を壊したときや、体が冷えたときに一時的に生じるものだが、過敏性腸症候群の下痢型は、こうした下痢症状と異なる。その違いはどこにあるのか。伊藤さんは以下の基準から、過敏性腸症候群かどうかを判断している。

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