岸田首相の増税表明方針「順番が違う」異論の声 自民・佐藤氏「防衛力強化は先に説明が必要だ」

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佐藤氏:三戦のほかに、今回の安保3文書改定で議論しているのは、AI(人工知能)を使った「知能化戦」。そして、相手の認知領域に入る「認知戦」の部分まで対応しないと(国民を)守ることができない。防衛研究所が中国の認知戦、知能化戦のレポートを出したが、そういう領域まで入っていかないといけない。それは防衛省だけでできる話ではなく、政府全体で司令塔をつくって対応しないといけない。それについて、今回の3文書改訂でできるだけ書き込もうとしている。

櫻井氏:中国には面白い言葉がある。中国は「制海権」を取り「制空権」を取って、他国の領土を侵そうとしている。制海権、制空権を取るには情報をコントロールしなければならないから「制情報権」という言葉が生まれた。そして、それがさらに深化して、制情報権だけでは足りないと、人間の頭脳までもコントロールできるようにならなければいけないということで、中国で今使われているのは「制脳権」。制脳権を確立するということ。彼らの情報戦はものすごく徹底している。ありとあらゆる分野で、その国の政治家、ビジネスマン、国民を中国の思うような行動に向かわせるという意味で「制脳権」。恐ろしい時代に入っている。

(画像:FNNプライムオンライン)

中国に対して日本が取るべき対応

松山キャスター:その中国に対して今後、日本はどういう対応を取るべきか。今行われている防衛3文書改訂でどういう文言で中国が表現されているか。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):年内に改定が予定されている国家安全保障戦略の原案で、中国は「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と記されている。「国際社会の懸念」と記した2013年の文書と比べて強い表現が用いられている。

岸田首相(10日 記者会見):5年間で抜本的に防衛力を強化するにあたっては、安定した財源が不可欠だ。国債でというのは、未来の世代に対する責任として取り得ない。

松山キャスター:岸田首相は、かなり早い段階で、2027年以降の増税措置、1兆円強について、国民負担をお願いせざるを得ないと表明した。首相官邸筋の話では、国債ですべて賄うと、どんどんどんどん防衛費増額が無尽蔵にできてしまう、というメッセージを世界に与えることになると。例えば、米国でまた共和党政権が誕生した場合に、防衛装備品をどんどん日本に買ってくれという圧力も強まりかねない、という懸念もあるようだ。櫻井さんは、岸田首相のこの段階での財源確保表明をどう見ているか。

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