なぜマクドナルドの経営改革は"悠長"なのか データから見えてくる内部事情

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そして最近は、1ドル120円ほどの円高になっています。要するに、最近の円安が、食品不祥事による顧客離れとのダブルパンチになってしまっているのです。

この円安という逆風下において、業績を大幅に回復させることは容易なことではありません。そういう点からも、マクドナルドの業績は、並大抵の努力では回復できないのではないかと心配するのは、筆者だけではないはずです。

自己資本比率の高さだけでは安心できない?

ところで、筆者は先ほど、マクドナルドの自己資本比率が高いことに言及しました。そうであれば、再建までに時間的な余裕があるのではないかという気がしないでもありません。

しかし、筆者は、マクドナルドが再建のために残された時間はそんなに長くないと見ています。なぜならば、2014年の下半期における現金預金の減り方が激しいからです。

筆者は、2014年の第2四半期(6月末)におけるマクドナルドの貸借対照表を見ましたが、そのときには、現預金が619億円ありました。それが、2014年12月末には286億円に減少してしまったのです。じつに、半年で333億円もの預金残高の減少です。

この半年の苦境によって、現金預金がこんなに急激に減ったということは、何らかの対策を講じない限り、その資金が、さほど遠くない将来に涸渇する可能性が大きいのです。

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