NHKの会長人事より何倍も大事な「本当の課題」 来年4月から受信料未払者への「割増金」は2倍に

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次期会長が決まり、「三位一体改革」を進めている「NHKの本当の課題」とは何か(写真:ニングル/PIXTA)

12月5日、NHKの次期会長が日銀元理事の稲葉延雄氏に決まったと発表された。来年1月に今の前田晃伸会長は任期満了となり交替する。

NHK会長選出と財界、政権の関係性

ところでNHK会長はどう選ばれるのか、皆さんご存じだろうか。NHKのガバナンスの根幹は経営委員会にある。NHKのさまざまな活動を承認するのがこの経営委員会で、会長を選出するのも重要な役目だ。つまり会長は業務執行の責任者で、経営委員はそれを監督する側で立場は上。

この経営委員はさまざまな分野の有識者が任じられる。ひと頃までは大学教授の名誉職のようなもので、実際には経営委員会がNHKにとやかく言うこともなかったと聞く。会長もNHK内部から選ばれ、それを経営委員会が承認していた。

風向きが変わったのは2000年代にNHKで続けて不祥事が起こってからだ。2006年の第1次安倍政権で菅義偉氏が総務大臣になると、政権によるNHKへの介入が始まったと言われている。経営委員会に財界人を送り込みNHKを律しようとした。なにしろ経営委員は「衆参両議員の同意を得て内閣総理大臣により任命」される。制度のとおりに運用を始めたわけだ。制度のスキをついて人事権を握り組織をコントロールするのは内閣人事局や日本学術会議でも見られた安倍菅政権の手法だ。

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