――武雄市で行っているプログラミング教育とほかとの違いは?
やはり、選択制ではなくて、全員がやるということですね。好むと好まざるとにかかわらず、ある程度やっていくというのが、私が理想とするところです。それが国力を上げることになると思っているから。
そうであるためには、希望しない子にも楽しく、わかりやすいものでなくてはなりません。脱落した子がプライドを傷つけられないような授業技術も必要ですね。
「次のフェイスブック」を日本から出したい
いわゆる「ITサビー」(ITを上手く活用する)の人の子どもというのは、早いタイミングからスクラッチ(MITメディアラボが開発した子ども向けプログラミング言語)をやってみようとか、親がITに触れる機会を与えていたりします。そうではない子どもも含めて、平等にチャンスを与えて底上げしていかないと、今後、その技術がなくなってまったく素養がなくて生きていくのはとても難しい。
国力ということを考えると、全員でこの勉強をしますよとなったときには、日本は非常に強みを発揮します。私の夢は、これが義務教育になって、しっかりと受験にも入り込むことです。
――武雄市の実証研究の課題は?
マンパワーですね。うちのCTOをずっと講師として派遣するわけにはいきません。彼はいろいろほかの事業もやっていますし。
今、小学校1年生で授業を行っていますが、2年生になっても続けたいという子どももたくさんいます。2年生、3年生という垂直方向と、今は武雄市にある11の小学校のうち1校でしか行っていないので、それを全武雄市、全佐賀、全国というふうに水平方向にも広げられればと思っています。
――この事業、今後はビジネスとして成立するのでしょうか。
今はCSRとしてやっていますが、ビジネスにするかどうかの見極めが重要だと思っています。これでたくさん儲けようとは思ってはいません。ただ、収益メカニズムがついていかないと、大きなうねりになりません。私は政治家でも行政官でも、教育システムのプロでもない。何のプロかと言えば、ビジネスのプロ。私のような人間というか、わが社のような会社がここに参加することの意義というのは、この事業にかかわった人が、ある程度、儲かる仕組みにすることだと思っています。
――プログラミング教育は、日本人の起業意欲の向上にもつながるでしょうか。
プログラミング教育は、起業そのものに直接インパクトがあると思っていますね。アメリカで今、1兆円の価値をつけている新興企業を見ると、ほとんどがIT企業です。それで、Facebookのマーク・ザッカーバークにしても、Appleのスティーブ・ジョブズにしても、プログラミングを学ぶことによって、そのうちの一握りは天才のプログラマーなり、サービスプロデューサーになっています。
次のFacebookは日本から出るんだという機運を作りたい。日本はこんなもんじゃない、すごいものが日本から出るんだぞと。アイデアを可視化できて、さらに自分で作れる人が、これからのリーダーになっていくと思います。
※この記事の後編は3月26日(木)に公開します
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