日本の「サービス業の生産性」が下がり続けるワケ 質が高いのに生産性は米国の約半分のなぜ
あらためて日本の労働生産性の現状を確認しておきましょう。
上の図は、日本の労働生産性をOECD加盟諸国と比較したものです。2020年の日本の1時間当たりの労働生産性は49.5ドル(5086円)でした。これはOECD加盟国の平均59.4ドルより、2割弱低い数字です。OECD加盟38か国中、日本の順位は23位となっており、データが取得可能な1970年以降、もっとも低い順位となっています。
G7に注目すると、もっとも生産性が高いのがアメリカで80.5ドル、次がフランスの79.2ドル、そして、ドイツの76.0ドルとなっており、日本の順位はもっとも低くなっています。なお、G7における日本の順位は、1970年以降、50年以上にわたって最下位です。日本の1時間当たりの労働生産性は、アメリカの6割程度しかないのが現状です。
1人当たりの労働生産性でも出遅れている
なお、1時間当たりでなく1人当たりでも労働生産性を測ることがあります。付加価値を就業者数で割ることで求められる1人当たりの労働生産性は、2020年に日本では7万8655ドル(809万円)でした。これはOECD加盟38カ国中28位にあたります。
アメリカの就業者1人当たりの労働生産性は14万1370ドルとなっており、日本はその56%しかありません。また、かつては日本のほうが韓国より上位でしたが、2018年に逆転され、2020年の日本の就業者1人当たりの労働生産性は韓国より6%程度低くなっています。
労働生産性は産業ごとにも大きく異なっています。ここでは大きく、製造業とサービス業の2つをみていきましょう。
日本生産性本部によると、2019年における日本の製造業の労働生産性は、1時間当たり5512円、就業者1人当たり1054万円でした。一方、サービス業では1時間当たり91円、就業者1人当たり781万円と、サービス業の労働生産性は、製造業よりも低い水準にあることがわかります。
GDPに占める製造業の割合は約2割で、経済活動の大部分はサービス業で行われていることから、サービス業の労働生産性の低さが、日本全体の労働生産性を押し下げる要因となっていることがわかります。
次に、産業別に日本の労働生産性を他の先進諸国と比べてみましょう。まず、製造業について、2017年時点で、日本の労働生産性はイギリスやイタリアとほとんど同水準にある一方、アメリカより約30%、フランスより約23%、ドイツより約17%低い水準になっています。20年前の1997年の数字と比較すると、日本とこれらの国で労働生産性の格差はほとんど拡大していないことがわかります。
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