「死亡者の7割」高齢者の住宅火事を防ぐ4つの対策 「住宅用火災警報器」の更新時期、点検・見直しも
高齢者が亡くなるケースがなぜ多いのかについては後述するとして、まずは近年の住宅火災の傾向について紹介したい。
住宅火災の出火原因にはいくつかあるが、放火を除くと、「コンロ火災」「たばこ火災」「ストーブ火災」が上位を占める。
コンロ火災は住宅火災の出火原因の1位で、大半はガスコンロによるものだ。2008 年にガス事業法などの改正により、家庭用のガスコンロのすべてのバーナーに「調理油過熱防止装置」の搭載が義務づけられた。加えて、ガス業界の自主基準として「コンロ・グリル消し忘れ消火機能」などが設けられた。これらの対策の成果で、出火原因の1位ではあるもののコンロ火災の件数そのものは減少し続けている。
たばこによる火災は、住宅火災の出火原因で2位。これも喫煙人口の減少に伴って減少傾向にあるといえる。
誤った使い方で火事に
ストーブ火災は住宅火災の出火原因の3 位。こちらは増えたり減ったりを繰り返している状態だ。ストーブなど暖房器具は1950 年代まで石炭などの固形燃料が使われていたが、1960年代に石油ストーブが代表的な暖房器具となり、その後はガスストーブ、電気ストーブに移っていった。電気ストーブや電気こたつでは、誤った使い方が火災につながっていることがわかっている。
実際、消費者庁に寄せられた事故事例を見ると、「電源を切ってから電気ストーブの上にバスマットをかけていたところ、発煙発火し周辺を焼損した」や、「電気こたつ布団を卓(テーブル)の中に入れてスイッチを入れておいた。10分ほどしてから中に入ろうとしたら熱くなっており、こたつ布団が焦げていた」、「10年ほど使用したこたつから、使用中に焦げた臭いがしたのでこたつの中をのぞいてみたところ、ヒーターユニットの下のこたつ敷きが3センチほど焦げていた」など、重大な火災につながる事例が挙げられている。
では、主な出火原因が減少(傾向)にあるなかで、火災に遭った高齢者が命を落とすケースが多いのはなぜなのだろうか。火災・防災が専門の東京理科大学の関澤愛教授は4つの要因を挙げ、「これらの理由から、高齢者が火災に遭うと逃げ遅れて命を落とすことにつながりやすい」と話す。
出火危険:使っている器具が使い慣れた古い器具が多く、安全性の低いものも多い
延焼危険:生活がおっくうになり、周囲に多くの物品を置いて密な生活を送っている
避難危険:火災に気づくのが遅れ、また気づいてもとっさの危機回避行動が遅い
介助条件:高齢者のみ世帯、あるいは一人暮らしが多く、手助けする人がいない
無料会員登録はこちら
ログインはこちら