ルクセンブルク「公共交通無料」はどれだけ便利? 乗り物も個性的、風光明媚な車窓が満喫できる
ルクセンブルクという国を知っているだろうか。欧州にある小国で、面積は神奈川県ぐらいしかない。ドイツ・フランス・ベルギーに囲まれた内陸国で、日本からアクセスする場合はドイツのフランクフルトやフランスのパリから行くのがポピュラーだ。
この小さな国が最近、交通関係者の間で注目されている。2020年3月から公共交通を無料としたからだ。欧米では以前の記事「公共交通『住民はタダ』、なぜ実現できたのか」で紹介したエストニアの首都タリンのように、都市や地域について無料化の実例はあったが、国全体では初めてと思われる。
無料化に踏み切った背景
欧州の都市交通は日本と違い、税金や補助金を主体とした運営をしている。ルクセンブルクについてもそれ以前から、収益に占める運賃収入は1割程度だったそうで、公共交通の運賃は1日4ユーロに抑えられていた。
それを無料とした理由として挙げられているのが、この国の裕福さだ。国民ひとりあたりのGDPは世界一で、自動車保有率はEUでトップレベルである。住宅価格も上昇しており、国外からの越境労働者が増えている。その結果、交通渋滞や大気汚染が問題になりつつあり、解決策として無料化に踏み切ったという。
ともあれ国全体で公共交通が無料というのは画期的なことであり、現地を訪れることにした。筆者はパリ東駅からTGVに乗り、終点のルクセンブルク国鉄(CFL)のルクセンブルク中央駅で降りた。
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