コロナ対策「大迷走」大抵の人が気づいてない真相 医系技官と専門家の「暴走」をチェックできてない

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このような病院に患者が集中しなかった理由は、10月6日配信の「日本人がコロナに延々翻弄され続ける残念な理由」で紹介した。ポイントは、オミクロン株が弱毒化したため、重症化するのはもっぱら高齢者で、その多くが持病を抱えた要介護者であることだ。時に認知症も患っている。

このような患者のケアは開業医・市中病院・訪問看護・訪問介護の専門家がチームを組んでやるのが本筋で、急性期病院が果たす役割は小さい。患者の命を救うには、無理やり、感染症拠点病院に入院させるのではなく、自宅にいながら、患者の状態に合わせてケアすることが求められる。ところが、2類に据え置く限り、このような組織は積極的に関与できない。

一刻も早く5類に格下げを

コロナは一刻も早く5類に格下げすべきだと私は思う。医系技官や専門家が強硬に反対したのは前述のとおりだ。8月24日をピークに感染者数は減少に転じ、世間のコロナへの関心が薄れたこと、および、同じ頃から、統一教会の問題で支持率が低下した岸田政権に、医系技官や専門家と戦う余力はなかった。

最終的に、2類・5類問題は、臨時国会での感染症法改正から漏れ、知事会の意向を反映する形で、届け出対象を高齢者や持病を有する患者に限定し、保健所の業務負担を軽減させた。2類の枠組みを維持しながら、業務負担は軽減できるため、医系技官や感染症ムラにとって、最高の形である。

これがコロナ対策の迷走の真相だ。医系技官と感染症・公衆衛生の専門家の「暴走」を誰もチェックできていない。そればかりか、メディアは、彼らの主張を無批判に報じている。この状況は第2次世界大戦と同じだ。軍官僚が暴走し、それを新聞が煽った。

そもそも専門家とは何か。コロナパンデミックの専門家などいない。自分の専門領域以外は、驚くほど知らない。コロナ流行当初、医系技官、および感染症や公衆衛生の専門家が「PCR検査は擬陽性が多い」など、科学的な誤りを平気で主張したことなど、その証左だ。遺伝子工学の初歩を学んでいれば、こんなことは言わないはずだ。公衆衛生の専門家は、臨床医学は素人だし、感染症の専門家は、ゲノム研究はよくわからないことを、もっと正直に認めなければならない。

さらに、コロナ対策で登場する専門家の多くはお医者さんだ。お医者さんは、社会の営みについてしっかりと学んだことがない。コロナ対策が、日本社会にどのような影響を与えるか想像する力はない。一部のお医者さんにコロナ対応を丸投げするのは危険だ。

政治は「シビリアン・コントロール」を効かせねばならない。そのためには、情報公開を徹底し、そのような情報を用いて、アカデミアやジャーナリズムは、専門家の対応を批判的にチェックすべきだ。コロナ対応の迷走は、日本社会の未成熟ぶりを反映している。

上 昌広 医療ガバナンス研究所理事長

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かみ まさひろ / Masahiro Kami

1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

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