コロナ流行後、このような組織は焼け太った。今年8月には、国立国際医療研究センターと国立感染症研究所を核に「日本版CDC」の創設が持ち上がった。国立国際医療研究センター、JCHO、国立病院機構には巨額の補助金が流れ込んだ。3つの組織が受け取った補助金の総額は、2019年度の6.7億円、13.0億円、45.4億円から、2021年度にはそれぞれ51.9億円(7.7倍)、569.4億円(5.3倍)、1317.2億円(29倍)に増えている。
では、組織の体質はどうだったのか。腐敗しているといわざるをえない。今年5月には国立病院機構、6月には国立国際医療研究センターの職員が収賄罪で逮捕されている。常識的に考えて、氷山の一角だろう。
感染症法2類への留め置きを主張
彼らがこだわっているのが、コロナを感染症法2類に留め置くことだ。今夏、全国知事会など、いくつかの団体は、コロナを感染症法の2類から5類に格下げするように政府に要望した。これに抵抗したのが、感染症の専門家たちだ。
「2類では、すべて公費負担で自己負担はないが、5類だと通常のインフルエンザ並みの3割負担になる」(勝田吉彰・関西福祉大学教授)や「(5類にすれば)これまで診てきた病院にこれからも患者が集中します。そして医療従事者がいちばん困ることになります」(西浦博・京都大学教授)などと、さまざまなメディアで問題を指摘した。
この理屈は不適切だ。コロナを5類に下げても、自己負担を助成することは、政府がその気になればいつでもできる。それに、「これまで診てきた病院にこれからも患者が集中」したりはしない。そもそも、今夏、感染症指定病院や大学病院には患者は集中していない。
下表は、第7波真っ盛りの8月3日現在の首都圏・関西圏の主要病院の患者受け入れと補助金の関係を示したものだ。医療ガバナンス研究所の山下えりかが調査した。JCHO、国立病院機構、国立国際医療研究センターの即応病床の患者受け入れ率は、それぞれ72%、65%、42%にすぎない。
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